真冬の深夜

冷蔵庫は空っぽ

深々と冷え込む中

コンビニに缶チューハイを買いに行く

とても侘しい

 

酔っ払った真夜中のカップルが

奇声を発している

 

信号機が赤に変わる

 

吐く息が白い

 

静まり返った店内で

淡々と店員さんが仕事をしている

申し訳なさそうに

缶チューハイを差し出す

あくまでも淡々と彼はレジを打った

 

店の外に出る

妙に月が明るい

アンタ我が強いんだなと呟く

その脇では

控え目な星の瞬き

今夜の気分は貴女のその淑やかさだ

(俺んとこ来ないか)と

誘ってみる

雲に隠されて

 

俺は歌い出した

いや

歌うしかなかった

イマジンを・・・

 

イマジン フォー ノーサイド

イマジン ノー サイレント~~~~

でたらめな歌詞と訳の分からない英語で

取り敢えず歌い切ったものの

満足感は無い

 

喉が早くチューハイを入れてくれと懇願してくる

 

街灯に照らされて何故か頬が赤らむ

 

大型トラックが走り抜けてゆく

 

野良猫の哀憐が

物欲しそうな目をして

俺を見つめている

偶には缶チューハイでも飲むか??

そうだったな

猫はアルコールを飲まないんだよな

つまり

酔っ払って(やらかしちゃった)なんてことがない

お前は

人間より優れているのかも??

再び呟いた

 

ジョンは言ってたよな

天国も地獄も無い

国も国境も無い

宗教も無い

欲望なんて振り翳すな

皆で世界を分かち合えば

ラブ&ピースさ

簡単なことだろ??って

分かってる

けれど

単純明快なようで複雑怪奇で・・・

 

けどさ

猫だって縄張りを争ったり

雌を奪い合ったりするわけで

 

所詮動物とやらは

争う運命(さだめ)にあるのかもな

でも

その動物の中で

一番イカレテルのが人間な訳で

哀しいなと

再度呟いた

 

新聞配達屋さんの前だけが騒々しい

 

店仕舞い中の倶楽部のマダムの背中が艶やかだ

 

静まり返った住宅街から漏れて来る寝息の音が愛おしい

 

整然と並び

白く輝いている街灯達の中に

一人だけ取り残されたかのように

チカチカしている孤独な彼・・・

 

せめて鮮やかにその身終われよと

今は亡き谷村新司さんを気取ってみせた

ちょっと笑った

 

部屋のドアを開ける

もちろん(おかえりなさい)の声は無い

缶チューハイを徐にひとくち飲み

今夜は

珍しく

 

(優しい彼女が欲しい)が

口からこぼれ落ちる・・・・・・・・・・・・・・・