春は鮮やかすぎる

目も開けられないほどに

 

咲き誇った桜を何と呼ぼう

美しいとさえ言っておけば

無罪ですか

 

蕾のまま花は開かず

落ちて死んで

さようならは無し

 

僕は僕で

優しい風のその優しさに

撃ち抜かれ倒れ込んで

負け芝居

 

 

夏は何かと忙しない

この期に及んで何を望む

 

騒々しい太陽にあからさま

微笑みかければ

差し伸べてくれますか

 

俯いたまま果てていった

向日葵が

最期に詠んだ歌の苦さよ

 

空からの一撃は

夏の愛情だった筈なのに

突き刺され倒れ込んで 

負け芝居

 

 

友よ

僕は負け犬だから

一度や二度

振り返ってもいいよね

 

 

秋よ寂しすぎる秋よ

心の扉がよりきつく閉まる

 

泣き喚く虫さえ煩いと

翻して優雅に舞えば

無実ですか

 

季節に背いた蛍独り彷徨う

輝くことを忘れ

虚ろに虚ろに

 

彼を追う

この想い語り尽くしたくて

見失い苦笑いした

負け犬の唄

 

 

思い出深き冬も

君がいなけりゃただ寒い

 

落ちては溶け落ちては溶け

その刹那抱擁したなら

手を繋いでくれますか

 

凍り付いた花の紛玉を見遣る

白の上赤く燃ゆ

夏へ連れ去ってあげたいねと

 

君と過ごした日々は

壊れたままのガラスの様で

元には戻せないと

負け犬の唄

 

 

恋人よ

僕は負け犬だから

一度や二度

立ち止まってもいいよね