サファイア

 

 

いにしえの(ギリシャ)という名の星

 

ダイアモンドに恋をしたサファイアは

彼の気を惹こうと

全身全霊をかけて青く輝いてみせた

 

もう純白へは戻れない覚悟で

 

しかしダイアモンドは遠く遠い惑星に恋をしていた

 

失意のサファイアは洞窟に閉じ籠り

永遠の泪を流し続けるのである

 

神はその青く光る洞窟を見て

将来 宝石の王であるダイアモンドに対し

サファイアが反乱を起こすことを危惧し

青の洞窟を悪魔の泉に沈めた

 

悠久の時を超えて

遠く遠い惑星に恋焦がれ続けているその虚を

悟ったダイアモンドは

生れて間もない美しい星

地球に降り立つことを決心したのだ

王であることを辞し 心を失くし

やがて繁栄するであろう人類を彩る為に

 

最後の仕事として自らを心から愛してくれたサファイアに

再び生命を吹き込み

悪魔の泉から救い出した

 

地球ではダイアモンドの麗しさに

賞賛の嵐が巻き起こる

 

哀しみから解き放たれたサファイアも

友愛の情を以て後を追った

 

しかし神の逆鱗に触れ粉々に打ち砕かれてしまう

 

最期の命を燃やし

慈愛という名の青い流星群となって降り注ぎ燃え尽きたのだ

 

なんという煌びやかな流星群であろう

歓声が沸き起こる

 

あれから長なる時を経て

 

古代の王や王妃 貴族等の涙の粒として

私達を彩ってくれる宝石が

富の象徴ではなく

平和の象徴であること祈る・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・