その孤独買いましょう

握り締めすぎた

赤い花びらをそっと手渡す

 

眠れる森の美女を揺り起こし

これは愛であって

同情ではないと

宣誓する

 

敗北に魅せられた男の

レクイエムが鳴り響けば

安息の休日の空を

青い鳥が舞う

 

百年ぶりに

微笑む貴女を眺めながら

何を詠みましょうか

 

さあ黄色い馬車に乗って

幸せ芝居を

 

誰も羨まぬ

歌劇を

 

澄んだ風が

不幸な世界を包み込む様に

貴女も

陽になって

月になって

道行く哀しみを照らしてあげて

 

その傍らに居られるなら

うたた寝していても

いいですね

 

 

その花を買いましょう

咲きそびれて

俯いているだけじゃ恋は出来ない

 

朽ちてゆく恋を呆然と見送った

その記憶も

その哀しみさえも

買いましょう

 

真新しい世界の扉を開け

真新しいメロディーを

真新しい休日の朝を

真新しいキスを

 

百年ぶりに

歩み出してくれた貴女

何を奏でましょうか

 

何処へも行かず

何処かの音色を

 

誰もいない泉の

独り言を

 

柔らかい雨が

パラリパラリ世界を濡らす様に

貴女も

赤く燃え

青く燃え

泣いている誰かを温めてあげて

 

その傍らに居させて欲しい

せめてもの愛と共に

輝けない蛍より