この街は
いつも泣いている
例えば
少女の引き攣った悲鳴
例えば
よく寝る悪い奴の鼾
例えば
機械が齎す人を脅す轟音
例えば
欺かれて
その手から零れ落ちた端金が軋む音
例えば
杜撰な大人達が吐き出す欺瞞
例えば
廓に水揚げされた
可愛いあの娘が羽織った絹の泣く声
数々の
人間の卑しさが輻輳したこの街の歪な旋律の中に
今にも掻き消されそうな
誰かの悪意を前に途切れてしまいそうな
しかし
それらを掻い潜って
美しいラブ・ソングが
微か乍ら
聞こえて来た時
例えば
西野カナのDear...だとか
だから
僕等は冷たいアスファルトの上に
立っていられる...