私（ASD +ADHD +若干LD）の顔はASDゆえ、真面目に見える顔をしている。赤ちゃんで生まれた時にお婆ちゃんが最初に言った言葉は「利発そうな子だ」らしい。ASDの人はなぜか顔が真面目に見える。でも私はいい加減でちゃらんぽらんの人間。真面目でもあるけど、ADHD併存もあって、真面目になり続けられなくてすぐに「もうどうでもいいや〜、やーめた」とかなってしまい、惰性の塊で超適当。なんていうか「真面目」な自分と「ちゃらんぽらん」な自分が同時存在している矛盾を抱えている。
「真面目じゃないのに真面目って言われる」「顔が真面目に見えるから真面目だと思われちゃう」で悩んだ。私も含め、ASDの人はこれで悩んでいる人が多いように思う。
顔の真面目さゆえ、私はよく「博士」とか「教授」とか「博学」だとか言われてしまう。でも私の頭の中をスパッと割って中身を見ると、中身なんてスカスカで全然、知識も入っていない幼稚でちゃらんぽらんでダメ人間だということが分かる。現にウェクスラー知能検査（WAIS-III）での私のIQは80で、記憶の部分は軽度知的のグレーゾーンの75とかである。それが本当の私で、みんな私の真面目に見える顔に騙される。「え？！アンドゥーちゃんがまさかIQ100を超えていないなんて」とか言われて驚かれる。
私のADHDの診断が、発達障害の専門医のドラちゃん先生でさえ、その診断に遅れて適切な治療を早くから受けられなかった理由は、私の真面目に見える「顔」に騙されたからだと思う。もちろん、躁うつ病が前景にあって背後に隠れる発達障害が見えにくいという理由もあるけど、さらに輪をかけて、真面目に見える「顔」がADHDを覆い隠している。
精神科入院中に、私の入院に3回も遭遇して診ているある先生に「私、発達障害の可能性ないですか？」と聞いたところ「あなたは絶対ADHDなんかじゃないから」「ASDでもない」「ドラちゃん先生のご専門の発達分野とはかけ離れた違う患者だから」と言われて、より一層、私の発達障害の診断が遅れることになった。
2011年に発達障害の新薬「ストラテラ」が出ているのに、私がそのストラテラを飲むことになったのはその5年後の2016年1月になってしまった。ストラテラで劇的に鬱が払拭されると共に、集中力や理解力が増して「メタ認知」（自分の中にもう一人の自分が生まれて、その自分が客観的に冷静に自分を見ている）が突如生まれてびっくり仰天した。「これが普通の人がみんな持っている『メタ認知』なんだ」と驚いた。
しかもADHDの診断がきちんと下りたのは、さらに1年半後の2017年の10月のことである。みんな私の真面目に見える「顔」という第一印象に騙されてADHDを見破れない。
よく私を観察すれば、幼稚でちゃらんぽらんで部屋の中は物で溢れてごっちゃンゴちゃんだし、あとASDゆえ「声」がすごく特徴的で変わっていることに気づく。ASDの人は「声」に特徴がある人が多い。私はいつもピアノの先生に電話すると「もしもし…桐朋学園大学卒の…」と言っただけで「うん。すぐに分かる。声のトーンが独特だもの」と言われる。私は響きにくい声をしている。司会とか講義をする時に、どんなに声を張り上げても、みんなのところにはよく声が届かない。じゃ、マイクを使えばいいじゃんって思うかもしれないけど、マイクを使っても、なぜかマイクにも声が響かない特殊な声をしている。私は生まれつき「口」が小さいらしく、よく歯医者さんが口の小ささに困って「ちょっと子供用の道具持ってくるから待っててね」となってしまっている。
あと「おはようございます」が言えないので、朝9時のドラちゃん先生の外来に行っても最初に「こんにちわー」である。「おはようございます」なんて絶対に私は言えない。「おはようございます」を言うことがなぜか恥ずかしいの極限に立っていて、無理してなんとか言えても、言うのは相当に苦痛で辛い。だから朝9時外来でもいつも「こんにちわー」で入る。そういうところで私の発達障害なんてすぐに分かるし、真面目に見える「顔」でも分かる。それなのにASDさえみんな見抜けない。ADHDのほうは、前景にある躁うつ病と、真面目に見える顔にみんな騙されて、私のADHDに気づけないできたというのが、私に起こった悲劇だった。
精神科に入院する時にいつも看護師さんに毎回必ず言われて不思議がられることは「あの…パジャマと下着とバスタオルが入っていないんだけど…」である。
パジャマなんて面倒で着たことないし着替える意味も分からないし、下着（ブラジャーじゃなくて、洋服の一番下に着る白のタンクトップみたいなやつ、何ていうのか私には分からない）も着たことがない。だって、下着を着ることに何の意味があるの？！それが分からない。なんで着るの？！面倒じゃん。しかも余計に体が暑くなって私は絶対に嫌。ただでさえ、暑い。冬服のどれもが私には暑すぎる。だから下着を着る意味が分からない。ブラジャーだけは女性なので、男性に胸の形がくっきり見えてしまうとその部分を見られてしまうので、さすがにしている。パンツももちろん衛生上している。でもタンクトップみたいな下着って何で着るの？！意味不明。
あと、入院すると、薬を飲み忘れて呼び出される頻度が異常なほどヤバいし、洗濯をやりっぱなしにして放置して他の患者さんに大迷惑をかける。私の入院時のそういうところで、私の発達障害なんてすぐに分かるのに、本当に悔しいほど、発達障害の診断が遅れてしまった。
入院時のことで今、思い出したことがある。
2020年秋、担当医の先生が2人、私の部屋に入ってきて、私が症状の話をしたり、今後の計画を話したり、注意している点を話したりした後、担当医2人が話を聞き終えて個室のドアを閉めて外に出て行った。その出ていった時に廊下から「あの子、さすがだね…やっぱりあの子すごい」と担当医2人で会話している声が自分の部屋に聞こえたことがある。その時「あ…まただ…私って、何でいつもそう思われちゃんだろう…すごいって何？！ドジでバカでおっちょこちょいでちゃらんぽらん人間なのに…」といっつも思う。今でさえ、よく「さすがアンドウさん」とか「アンドゥーって考え方が大人で尊敬する」とか言われる。
確かにそういうところはあるのだけど、でも実際はそういうASDからの「真面目」で「博士」的側面と、ADHD +LDの「いい加減で、ちゃらんぽらんで、幼稚で中身がスカスカでIQも80の大馬鹿」とが同時存在しているのが本当の私である。そこを第一印象の真面目に見える「顔」だけで判断しないで欲しい。よく観察すると私は幼稚で超適当派のちゃらんぽらんでオッチョコチョイの冒険好きである。
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