女性ASDの人はファッションやファッション雑誌、化粧に無関心であることが多いというのが一般に言われている(サラ・ヘンドリックス『自閉スペクトラム症の女の子の世界』)。


女性ASD(+ADHD /若干LD併存)の私はどうかというと、確かにファッション雑誌は全く興味がなくてダメ。一度も買ったことがない。精神科病棟に入院中、一番辛かったのはある患者に「アンドゥーちゃん、一緒にファション雑誌見よう。アンドゥー、こういう雑誌が好きだと思って買ってきたの」と言われて、全く興味がゼロのファッション雑誌を私が見なければいけなくなった時だった。私は「うわー、アンナちゃん、この指輪が欲しいんだあ、うん、確かに綺麗だねー」とかでっち上げに近い適当な相槌を打って切り抜けた。これは本当に辛かった。私は美容院に行ってもファッション雑誌が一番しんどい。


そして化粧も全く関心ゼロで、一度も化粧をしたことがないすっぴん。


唇の乾燥予防に塗るリップみたいなものでもうアウト。限界。気持ち悪い。感覚過敏(触覚過敏)の私には化粧をつけている感覚が耐えられない。化粧そのもの自体も好きじゃないので致命的。


なんていうか私は「自分をより美しく見せたい」という気持ちを持つこと自体が拒絶するほど嫌なのである。自分なんて美しくなくていい。より美しく見せたいって一体誰に?!どうして?!意味が分からない。「自分を美しく見せたい」というのは私にとって恥ずかしいエゴみたいなもので、なんだろう、自分の欲望をセーブできないレベル低い人という思いが自分の中に生じて、とてもじゃないけど化粧はできない。何もしない自然体のままの私でいい。


もちろんこういう風に思う私がASDで普通と違っていて変なところなので、変なのは私なので、どうか化粧好きな人は化粧して下さい( ・∇・)。私は嗅覚過敏だけど、香水の匂いがキツくなければ、化粧の匂い自体は私は大丈夫です。


というわけで、まず、私はファッション雑誌と化粧は全く無関心である。


でも不思議なことにファッション自体は興味があって、とりわけ、洋服の色のコンビネーションにこだわりがある。今日はヘアバンドもチュニックもパープル系で統一しようとか、今日はブルーのワイドパンツに白のTシャツで行こうとかそういうこだわりはある。


勘違いされないように書くけれど、洋服の色のコンビネーションにこだわりがあるのは「自分を良く見せたい」とかではなく、単に、自分のその時の「気分」なのである。「気分」というのは、私はADHDの飽きる癖が強いので、着ている服の色にも飽きがすごくあって、日によって、今日は黄色と黒、今日はブルー系、今日はピンクとか、そういう「飽き」からくる「気分」を楽しんでいるだけで、モチベーションを高めたいための「気分」とは違う。


でも一応、お気に入りのデザインやスタイルというのも色々あるので、ファッションは興味がある。でもファッション雑誌を買ってまでしてのこだわりはなく、ファッション雑誌はどうしても関心ゼロ。嫌。


もっとも興味がないのは指輪とかジュエリー。なんであんなに高級なものをあえて買って指につけたがるのか、私には意味が分からない。第一、指に指輪がついてたら作業する時に邪魔で仕方がない。そんな邪魔物に50万とかかけて買って指にはめるのはいったいどうして?!私は50万あったらかき氷とパフェ、クレープを外で思う存分食べた後、残りでハンドメイド材料の生地をたくさん買いたい。なんで指輪?!


同様にピアスも絶対嫌。耳に穴を開ける心理が皆目理解できない。ネックレスも邪魔。ブローチも邪魔。つけるのが面倒な上につけても「自分は自分」なので意味がない。


あと、逆に興味があるものは、ファッションの中で、靴と靴下、バック、リュック、ストラップで、それへのこだわりは強い。靴と靴下、バック、リュック、ストラップへのこだわりも女性ASDの典型の出方とは違い、どちらかというと、一般的な男性ASDの出方をしている。


靴は10足は持っていると思う。バックもリュックもいっぱい持っている。その時の自分の気分でコロコロ変える。でもメインで使うバックは1つだけにしている。それは財布やお薬手帳、鍵、折りたたみ傘、災害マップ、水のボトルなど大切なものをなくしたくないからである。メインのバックをその日その日で色々変えてしまうと、その度に財布やお薬手帳etc一式が別のバックに移動してしまって、あれ財布はどのバックだったかな、昨日どのバック使ってたっけ?!となるのが嫌なためである。あと単に財布やお薬手帳etc一式を別のバックにいちいち移動させるのが面倒だから。そこはADHD。靴、靴下、バック、リュック、ストラップへのこだわりの強さは男性のASDの症状といわれる出方をしている。


そんな私。つい最近、メンズ靴下事件というのが起きた。


私は靴下にも強いこだわりがあって、とりわけ、個性的な和風デザインやレトロ風デザインの靴下が好きである。飽きで急に北欧風デザインの靴下に気分が移ることもあるけど、今はやっぱり和デザイン。ちょうど今履いている靴下も和デザインで、足の甲のところに「いちごあめ」と平仮名で大きく書かれたピンク色の靴下である。そして和デザインのモードの自分が始まって、最近、よく見えるところに大きくデカデカと「祭」と書かれたいかにも祭り気分的な靴下をネットで買ってしまった。ところが、買ったあと、よく品物を見てみると「メンズ」と書かれてあって、サイズが「25〜28cm」と書かれてあって真っ青になった。


女性の私はそんな大きな足のサイズじゃない。しかもメンズデザインだったとはつゆ知らず、てっきりレディースデザインだと思ってうっかり買ってしまった。慌ててキャンセル申請をしてコメントのところに「サイズを間違えてしまいました」と記入して送信した。


翌朝、足袋ソックス屋さん(その靴下は足袋だった)から電話があって「あの、キャンセル申請のメールを見落としてしまい、うっかり発送してしまいました」とのことだった。私が「仕方がないですよ、なんとかしますから」と言うと「いや、今、ポスト投函した靴下を配達しないように郵便局に向かっていますので、間に合えば届かないかもしれません、でも、もうすでに配達が始まってしまっていて間に合わなくてそちらに届く可能性もあるんです。その時は、配達された郵便に【受取拒否】と書いてポスト投函すればこちらに戻ってきますので、そういたしましょう」とすごく親身になって下さったのでびっくりした。


その電話のやり取りの中で私が「いやー、どうしようかと思っていたんです、実は私、女性で…」というと「はは(笑)、あれ、メンズですもんね」と言われて笑ってすませてくれて、本当に親切な足袋ソックス屋さんだと思って、その親切さに感動するほどだった。


買った足袋ソックスは結局、我が家にポストで配達されたので「受取拒否」をしてポスト投函して返品できた。親切な足袋ソックス屋さんでよかった。うちにはお父さんとお兄ちゃんがいるけど、二人とも、「祭」と派手にデカデカ書かれた個性的なデザインの靴下を履く私の好みとは全く違う「地味」な好みをしているので、返品できなかったら「メルカリで安く売るしかない」と考えていた。足袋ソックス屋さん、ありがとう。


こんなわけで、私は女性ASDなので、メンズデザインのものを好む。新しく靴や財布をネットで買う時も、検索ワードに「メンズ」とか「レディース」とかは入れないで、メンズもレディースも両方みてたくさんの選択肢の中から決めたいので「靴」「財布」としか入れない。あえて「レディース」なんていれたら選べる範囲が少なくなってしまう。メンズの方も全てみて、男、女の区別に捉われることなく自由に決めたい。それが私のASDである。



ハンドメイド作家「魔法使いアリス」


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