*両親の結婚記念日40周年の時のために作った切り絵です。

 

私が金縛りを初体験したのは小学校3年生の時です。

ほぼ毎日金縛りに遭い、しかも見えないある人物が私の体の上を這って首まで来るのです。

中学になってもそれは続き、高校生になっても続きました。

当時、自分の発達障害のこともナルコレプシーのことも全く分かっていなかったため、ずっと「幽霊」を信じていました。

「私の家に幽霊がいる」「私は幽霊に憑りつかれている」「私は呪われている」と本気で信じ、「お祓いを受けなきゃ」と真剣に思っていました。でも調べるツールもなかったためお祓いを受ける場所も分からないまま大学に進みました。

 

私の家で昔、ある一室をAさんに貸していて、ある時、そのAさんが自殺しました。

だから、余計に私は「私に憑りついている人物はそのAさんだ」「Aさんが毎日私を襲う」と思い込み、恐怖で電気を消すことができず電気をつけっぱなしで眠るようになりました。

 

ところが今から3年前、重症の鬱から脱出したとき、本が読めるようになった喜びで「脳科学」にのめり込みました。脳科学に関する本を読んで勉強していくうちに、「幽霊」や「おばけ」「エイリアン」「小人」「巨人」は全て「幻覚」「幻視」であることや、金縛りは「睡眠障害」であり、金縛りの間、人が体を這うのは「幻触」だということが一気に分かりました。

 

それが分かって以来、電気を消して眠れるようになりましたが、その時辺りから、私に「耐えられない強い眠気」と「入眠時幻覚」が襲うようになりました。「眠気」は歩いている途中でも襲ってきてその付近のベンチやカフェで眠るほどです。しかもその際、寝入りばなに「漢字の幻視」が見えたり「老婆が見えて、その老婆の目玉が飛び出す幻視」「蛇が現れてこちらに向かって舌をシュルシュルシュルッと出して襲ってくる幻視」が襲います。

入院中は、「U看護師が女性看護師にバッと抱きつく幻視」まで襲いました(笑)。

 

また幻聴も同時に聞こえます。

つい最近ではメモした幻聴は「安斎さん!」という幻聴…「おいおい私は安斎じゃないけど」と思いました。

その他「冷たいものが壊れてる」とか「今具合が悪いの、どこにあったの?」「俺の心だと思います」など意味不明の幻聴。

さらに「音幻聴」も活発になり、いきなり「パン!」という大きな銃声音が聞こえたり、「しゅぽしゅぽしゅぽしゅぽぽおーーーおおおんしゅるるる!」という長い音幻聴が夜眠る前に聞こえたりしていてびっくりしました。

しかも思考化声まで生じ「自分の意志に反した方向に勝手に考えが生まれて止まらない、自分が普段考えないような変なことを勝手に考えていてその考えが幻聴になって聞こえる」現象も何度も経験しました。

自分がお経のようにブツブツ寝入りばなの幻聴の中でつぶやいている内容が「パイナップルを持ってサリンを作って、ケチャップを洗濯機にかけて安倍総理のところにトイレに行って、ジェットコースターに水をかけて包丁で豆腐を潰して食べて…」のように統合失調症の「言葉のサラダ」状態になっていました。

 

「自分はついに統合失調症にでもなってしまったのではないか」と思ったほどです。

 

でも幸い、外来の主治医が「ナルコレプシー」を疑ってコンサータを処方して下さり、それを飲んで以降、耐えられない猛烈な眠気や入眠時幻覚の症状は激減しました。まだ生じてしまう時もあるけど、回数が少なくなったので安心しています。

 

せっかく躁うつ病が良くなったのに、今度はナルコレプシーで悩まされるなんて…

一難去ってまた一難。

 

一番恐かった入眠時幻覚は、金縛りに遭っている時、アサハラショウコウの幻視が私の体を締め付け、低い低音でゆっくりとした速さで「下剋上に行って…地獄界に行って…悶絶界に行って…旅…」という言葉が聞こえた瞬間でした。

 

また金縛りに遭って私の上を這う人物が、私に性交渉を求めた時があり、実際にオーガズムまで感じるという幻触も起きました。

どれも「幽霊」ではなく睡眠障害やナルコレプシーからくる「幻覚」です。

 

でもこういう「入眠時幻覚」を経験したことで、統合失調症の人の苦しみが少し分かるようになり、「統合失調症の人に出会ったら、話をよく聞いてあげて優しく接しよう」と思えるようになりました。

この世の中に「無駄なことは何一つない」「全ての経験には必ず意味がある」「どんな苦しみにも必ず出口はある」ことが分かりました。