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『されど我、処刑を望まず―死刑廃止を訴える被害者の兄 1998/9/1

福田 ますみ (著)』

 

姉も息子も自殺した | 国家権力による殺人

 

 

 私は15歳の時に、数年前から交流があった不良仲間のみゆきと再会した折、極道事務所に知り合いがいることを聞かされ、何となし刺激を求めて、極道事務所に不躾な電話をすると、その日のうちに小銭数百円を掴んで、名鉄電車のキセル乗りで、誰にも告げずに家を出て西三河に向かった。

 

 そこから23歳まで、今までの人生の中でもっとも温かいファミリーと共に過ごす8年間となった。

 

そんな訳で第二の故郷とも言える西三河については今も郷愁を覚えることがある。右も左も分からぬ私に、礼儀作法からこの世のイカれた常識や人間の正体などを懇々と教え込んでくれたのは、親父(組長)や兄貴(若頭)だった。いつも白い歯を見せて満面の笑顔で笑ってばかり、上部組織のトップである親分の前でも大笑いして嬉しそうにする私を、

 

「ヤクザはもう少し威厳を保ってだな・・・」と叱りつけながらも、本当に心から愛してくれたと感謝している。

 

(15歳から親分の自宅に丁稚奉公し部屋住みで同居していた)

 

親分も親父も、私のことが可愛くて仕方がない。誰よりも贔屓してしまう衝動を抑えるのに必死になっていることは、周りのやっかみを聞くまでもなく、2人の下がった目尻を見れば明らかだった。

 

 「されど我、処刑を望まず」は、その「我」が著者として語っているのかと思えばそうではなく、ジャーナリストの福田ますみが書いたものだった。

 

福田ますみと言えば、数多くの有名作品もあり、脳科学者の中野信子と対談をしたり、マスコミでの露出度も高い。

 

中野信子 : 元メンサ会員・IQ 148/なお未達大和無期懲役囚はIQ150の天才と言われる

 

 

この本を読み始めてすぐ、後頭部の辺りに電撃が走った。持病の頚椎ヘルニアのせいではなく、事件の現場となったのが西三河一帯であり、地名以外にも、登場する場所(例えば衣浦港などなど)や、極道組織の名称、風天会や、導友会など耳慣れた単語がずらりと並んでいたからだ。

 

 

風天会 : 半田市に拠点を置き、3代目山口組時の全国制覇には非常に貢献度が高い「殺しの軍団」と呼ばれた柳川組の流れを汲む

 

導友会 : 当時は名古屋市で一本独鈷の組織。現在は山口組傘下であま市

 

 

 

 

この、合法非合法を含めて“日常的に世に溢れる殺人事件”の本が世に広く知られることになったのは、家族を殺された被害者遺族が、紆余曲折を経て加害者と手紙をやり取りし、面会を重ね、遂には死刑廃止活動に力を注ぐことになったと言う稀有な事例に他ならないが、

 

それを実に読みやすく、また人物の心情や同機を絶妙に描いた著者の力によるところが大きいと感じる。

 

語彙の豊富さに加えて、筆者の言葉の選び方にはこだわりがあるようで、学が無い私には面白かった。

 

 

ほとんど小説は読まないほうだが、過去に読んだ中でもっとも知らない単語が多かった本は、中卒後、肉体労働をしながら投稿をかさね、芥川賞など数々の賞を受賞した西村賢太の「苦役列車」だった。

(2022年2月に若くして亡くなられた。随分と不摂生な生活をしていたと聞いている)

 

 

それも、決して知識を曝け出すような使い方ではなく、実に的確な使い方のように思えたが、小説を読むが多いか、かたわらに置いた分厚い辞書を引くのが多いかと言うくらいの未知の単語数で、読み切るのには随分と時間がかかった覚えがある。

 

それに比べれば未知の単語数が多くなく意味は何となく分かるがアウトプットには自信がない単語が多く使われている。

 

感動してワクワクが止まらず、思わず深夜まで読んでしまった。

 

例えば、

 

◆頭髪には櫛目が入らず、と慌てている様子を表し。

達筆と略さず◆達者な筆遣い、と言い。

◆ありうべからざる寛大さ、などと舌を噛みそうな言葉で表し。

◆喜びはいかばかりか、とタコでは🐙ない古風な言葉を使い。

◆少しく心境に差があるとしたら、と「少しく」などと表現し、

◆広大無辺(広くて果てしがないこと)、

◆しからずんば→しからずば(そうでなければ、さもなければ)、どこかの国のダンス名のような言葉を使い、

◆口を糊する(やっと生活する)、私の生活を的確に書き表し、

◆水をむける/② 転じて、相手がある事を話しはじめるようにうまく仕向ける。 また、関心をそちらに向けるようにもちかける。、水をあけるやら、むけるやら由来がわからないと使えない言葉があり、

 

これ以外にもページをめくるたびに知的好奇心を刺激された。

 

 

加害者である渡辺(後に獄中で回心、キリスト教を信仰するようになり洗礼を受ける。担当弁護士や親族以外の外部通信手段確保の目的で、同じ信者の女性と養子縁組をして改姓)の姉の一人は事件後すぐに自殺。その数年後には長男も自殺した。

 

 

殺人を罰するために、国家権力で加害者を「殺人」する、

「死刑廃止」を何となく訴えることは簡単だが、こう言った書物によって、色々な側面から考えていくことで、軽々しく世論や一部の団体に同調して語ることの危険性を教えてくれた。

 

じっくりとご覧いただきたい。