「飼うって決めたからね♪」

ある日突然、どこからともなく写真のワンコを連れて帰宅した母は、私に悠々と言い放った。

筆者、大学1年19歳のとき。
また今度は何を言いだすんだ?
筆者は、母のRockな性格に毎度のこと驚かされていたため、ある程度免疫はあったつもりだが、まさか事前の相談もなしに里親になって帰ってくるなんて夢にも思っていなかった。

ワンコこと愛犬のユキは、長野県軽井沢のあるブティックで保護されていた。元飼い主が飼育を放棄したため、肌や毛などは荒れただれ、見るも無残な姿であった。

母はそのブティックの常連であり、立ち寄った際にユキと出会った。
母曰く、「私がこの子を選んだんじゃない、この子が私を選んだのよ」とかモーセばりに意味深な事を述べていた。

ユキを保護してくださったのは、正確に言うとブティック付近にペット用服屋さんを構えるブリーダーの方であり、今だに母とは親交がある。

犬猫の年間殺処分数は、約8万頭。
タイミングが悪ければ、ユキもその内の一頭になっていた。今となっては、母のRockな判断は正しかったと思っている。
ユキは大事な家族の一員だ。

筆者は就職後家を出て、今1人暮らしをしているのだが、実家に帰るとユキが尻尾を振って出迎えてくれる。

洋楽はほとんど聴かない母だが、そのRockな性格は確実に筆者に受け継がれている。









Rockは遺伝にて