魔法使いは、鼠は馬へ変え、カボチャを馬車にしてみせた。

シンデレラは退屈で屈辱的な日常を抜け出し、あの憧れの王子と踊るため魔法使いが錬金した馬車へ乗り込み、王子の待つ舞踏会場へと向かった。

舞踏会場に着くと沢山の人でごった返していた。
シンデレラは必死に王子を探したが、王子の姿はない。


長き日々、シンデレラは自分と一緒に踊ってくれる人を、お城で継母の嫌がらせを受けながらも夢見ていた。
そんなシンデレラが掴んだ、最初にして最後かもしれない大事なチャンス。

LynseyのWon't Somebody Dance With Meが舞踏会場で流れ始めた。
Lynseyが優しく歌ったこの曲は、一緒に踊る相手を求める純情な女性の心情を、ストレートに表現している。

何て「良い」タイミングに流れるのかしら。
シンデレラは心中複雑な心境になった。
12時の鐘が鳴ったら魔法は解けてしまう。
それまでにSomebodyじゃなく、王子を見つけなければ。

Lynseyの優しい声とは裏腹に、無情にもメロディは進み刻一刻と12時に近づいていく。

その時、シンデレラの視界に、やはりシンデレラを探しまわる王子を見つけた。
ときめき鳴り止まぬ気持ちを抑え、シンデレラは安堵し王子の元へゆっくりと向かったのであった。












フィクションのフィクションにて