私の彼の夢は、警察になることでした。① | moment♡日韓夫婦、日々のこと。

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二度と戻らない、この一瞬。



私の彼は、出会った頃から
警察になることを夢みていました。

そのために1日の半分以上を
勉強に費やし、
家と図書館を往復する毎日。

週末はカフェでバイトをして、
私と会う旅費や本代を稼ぐ。

それが彼の日常で、
もう1年半近くそんな生活を続けていました。

彼は軍隊にいた頃、
警察で勤務をしていた経験があり、
その時に自分に合っていると感じて
以来ずっと警察になるために
準備をしていました。

公務員になれば将来安泰、
というのは日本も韓国も同じ。
それが彼自身がやりたいと思える職、
となれば、簡単な道ではないとしても
目指さないという選択肢は
ありませんでした。

でも今まで2回受けた試験で
良い結果を得られず、
来年の3月にある試験を受けて
その後のことを決めようと話していました。

私は彼の職について
とやかく言いたくはなかったので
ずっと見守っていたし、
これからも見守ろうと思っていました。

そんな12月のある日。
たまたま家で1人で観ていた
テレビ番組のドキュメンタリーが
きっかけで、私の考えが180度変わりました。

その番組では、何年も前に起こった
北九州で起きた殺人事件の犯人の息子が
今どうやって暮らしているかという
内容をインタビューしていました。

随分と苦労して
暮らしている人がいるんだなあと
思いながら番組を見終えて、
ところで一体どんな事件だったのかと
調べてみたところ、、
こんな事件が世の中に存在することが
理解できない、理解出来ないくらい
意味が分からない事件でした。

丁度ネットで調べながら、
彼と電話をしていたので
その事件について話したら
彼はネットで調べた私の情報よりも
正確に、その事件のことを
知っていました。

彼は元々心理学専攻。
プロファイラーになるのが夢で
世界で起こった色んな事件についても
勉強していたんです。

そこで、何故か直感で
危ないと思いました。

警察というのは
凄く危険な仕事なんだ、と。

この事件に警察は一切出てこないけれど、
こういう事件を扱う人と
私は同じベットで眠ることは
出来そうにないと思いました。

毎日彼が無事かどうか、
考えながら生活することは
出来そうにないし、
そんな生活はストレスで
きっと疲れてしまう。

今まで1年以上一緒に過ごしてきて、
そんな風に思ったのは初めてだったし、
それは彼の夢を否定することにもなる。

そうだとしても、
公務員として安定した職に就く以上に
もっと大切なものが失われるような気がして
警察を目指すのを辞めて欲しい、とまで
言いました。

ずっと私の中には、
彼が私を置いて先に逝ってしまうのではないかという不安がありました。出逢って、両思いになった頃から。だって不思議なくらい幸せだから。
離れ離れになる前にこんなにたくさん幸せを
プレゼントしてくれてるんじゃないかな、って。

だから危険な仕事はして欲しくない。
それが私の本心でした。

彼は私の話をじっくり聞いて、
その次の日には4社に履歴書を送りました。

そしてその次の日には面接。
結局希望した4社とも受かり、
最後に受けた2社は私も彼も働きたい
企業だったので迷ったけれど
結局より安定的な仕事を選び、
仁川空港で働くことになりました。

私が言った一言から
トントン拍子で
あっという間に話が決まってしまい、
状況が呑み込めず。

けれど、本当に良かったのか。
自分で言っておいて何だけれど、
あんなに目指して、時間を費やしてきた
警察を諦めていいのか。  

彼が会社に必要書類を提出し、
正式に働くことが決まった日の夜。

私は警察は本当に諦めていいの?と
ききました。

すると彼は、堅い声で聞かないでくれ。
と言いました。

どうして?だって、もっと後で
やっぱり警察になりたかったと思っても
引き返せないかも知れないから
今聞いてるんだよ?と言うと…

うん…じゃあ、もう受かったから言うね。
この話をしたら、
きっとりおは泣くと思って
言わないでおいたんだけど。
就職したから、言うね。

と言って、話し始めました。