…幼少期から約6年、チェロを習っていた主人公『橘』が
誘拐事件をきっかけに、大好きだったチェロを辞めてしまう。
と、同時に自分の心にも蓋をしてしまっていた。
社会人になったある日、とある音楽教室に生徒として
潜入捜査、いわゆるスパイを任された橘。
もちろん選考楽器はチェロ。
幼少期の嫌な思い出と戦いながらも潜入捜査を遂行していく橘。
そのうちに、チェロを好きだった過去の自分を思い出したり、
橘がスパイと露程も思っていないチェロの講師を始めとした仲間たちと
どんどん打ち解けていくうちに自分の行為に罪悪感を覚えていく橘。
会社の上司からの命令と、自分の居場所や好きだったチェロを思い出し、
”自分”を取り戻そうとする間で苦しみ、悩む橘。
その橘が、最後に選んだ”自分”の道とは…?!
一人の青年が、過去の良い部分と嫌な思い出の部分で戦い、もがきながらも
自分を取り戻そうと奮闘する様や、社会人になって上司からの命令に
どうしても逆らえないでいる様。
それでもなお、”自分”の人生を、自分の選択によって生きたいと
渇望する意欲を描いているところが、
眩しくも惹かれた作品でした。
それでいて、音楽がベースにある小説は
音楽好きな私にとっては、それだけでも読んでいて楽しめました。
文章も読みやすく、すらすらと読めた作品でしたよ。
2023年本屋大賞第2位受賞作品
