私は昔からアレルギーと喘息を持っていた。

どちらも普段の生活ではほとんど出ないけど、環境が変わると出てくる。

 

特に、ハウスダストに弱くて、環境によっては喘息の症状がでてしまう。

帰省した際にも、その症状が出てしまった。

 

もともと母はすごくきれい好きで、掃除も毎日欠かさない人だった。

でも、私が帰省したときは抗がん剤の副作用で動けず、1週間くらい掃除をしていなかったそうだ。

少し溜まり始めたホコリと、慣れない空気に私の体が反応した。

 

といっても、激しい発作ではなくて、少し咳が出てヒューヒュー言う程度。

なので、携帯している吸入剤とマスクで対処できた。

 

この吸入剤は「メプチンエアー」というもので、喘息を持っている人なら大体使っている有名なもの。

なので知っている人も多いと思うけど、使うときに「プシュ」と空気が噴射される音がする。

 

その音を聞いて、寝ていたはずの母が飛び起きた。

 

「なに!?大丈夫!?」

 

と、副作用でだるいはずなのに、起き上がって私の元に来ようとする。

大丈夫だよ、と伝えても、心配らしくて結局起き上がってきてしまった。

 

昔からメプチンエアーのプシュを聞いている母は、音=発作と体に染みついているみたいだった。

もう自分で管理できるし、10年以上発作も起こしていないのに、まだまだ昔のまま心配してくれた。

 

その後は副作用はどこいった?と思うくらい気が張っていて、窓を開けたり、できる掃除をしたりし始めた。

私がやるといっても聞かず、結局一緒に掃除をすることに。

終わったらだいぶゲッソリしていたけど、なんだか満足そうだし、元気になった気がした。

 

母はいつになっても母でいてくれたことが嬉しかった。

"病人"から"母"になることで、こんなにも覇気がでるものなのか、と驚きもした。

 

母はやっぱり強いなぁ。