少し前に、母の好物を作って送った。

メインは鶏つくねのつもりだったけど、大好評だったのはピーマンの肉詰め。

弟がだいぶ食べてしまったらしく、また送ってと連絡がきた。

そういえば、弟もピーマンの肉詰めが大好物だった。忘れてた。

 

相変わらず母の食は細く、お腹は減っても一度に食べられる量が少ない。

ごはん茶碗半分ほどの白米と、ちょっとしたおかずを食べるだけで精一杯みたいだ。

それでも体重は少し増えたらしい。

 

抗がん剤の副作用で目が見えづらいうえに、作っても食べられないせいで、今の母はほとんど自炊をしていない。

昔は私と弟のためにいろいろなものを作ってくれた。

 

ハンバーグ、牛のタタキ、魚の南蛮漬け、シチュー、おでん、餃子…

思い出すときりがないほど、働きながらだったはずなのに本当にたくさん作ってくれた。

 

そんな母の腕前には到底かなわないけど、これからは私が作ってご馳走しよう。

毎日作ることはできなくても、ときどき送ったり、リクエストされたら作ったりすることはできる。

冷凍や冷蔵便にここまで感謝する日がくるとは思ってもみなかった。

 

抗がん剤の副作用が少し落ち着く頃を見計らって、今度はピーマンの肉詰めを送ろうと思う。

調べてみると、冷蔵・冷凍で贈るおかずのレシピ本なんかもあった。

遠く離れている家族に、手料理を作りたいという気持ちはたくさんの人が抱えているんだなぁと、少し嬉しくなった。