深い、深い井戸の底から、エイミがかすかに呼んでいる。

コト、コト、おいでよ、コト。

あたしは、耳をふさぐ。泣きながら、耳をふさぐ。そっちに行っちゃったわけ、ないじゃん。なんで何も教えてくれなかったの。

カーテンの外の、透き通る青空がスクリーンになって、エイミが浮かんでくる。

コト、コト、ごめんね、コト。

キシノとのこと、知らなかった。気づきもしなかったよ、あたし。あのとき、あのメモを渡されたとき、あたしがこんなにのんきで鈍感じゃなかったら、問いつめてたのに。あたしが、あのとき、スタバで別れるとき、もうちょっと一緒にいようって提案したら、エイミはこっちにいたかもしれないのに。

これから、あたしは、誰に話したらいいの。いろんなことを。深い深い井戸に向かって、ひたすらつぶやけっていうの?こだまがかえってくるだけなのにね。

ひどいよ、キシノ。なんであたしからエイミを奪っていったんだよ。失ったものが大きすぎて、怒る気力もないよ。ひどすぎるよ…。



太陽はこれからのぼるっていうのに、あたしは、毛布にくるまって、ぴくりとも動きたくなかった。ずっと、このままでいたって、いいと思った。だって、エイミは、もう動けない、んだもんね?









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