素数であるか否かを証明する問題 | ユークリッド空間の音

素数であるか否かを証明する問題

「2以上の自然数nに対し、nとn2+2がともに素数になるのはn=3の場合に限ることを示せ。

  K都大学」

 

素数とは

 

 2、3、5、7、11、13、……

 

 

1とそれ自身以外に約数を持たない数


考えられる攻め手としては……
(a)素数のうち「2」以外は奇数
(b)素数が2つあればそれらは必然的に互いに素

 

ただ(b)はこれだけでは不足

「9」と「16」は互いに素だけれど

どちらも素数ではない

そこからもう一工夫必要そう

 

 

まず(a)で攻めてみます

 

 

 

nとn2+2について考える


n=2のとき

n2+2=22+2

    =6

 

この「n2+2=6」は素数ではない

 

n≠2のとき

nは3以上の素数

3以上の素数は奇数なので

 

  n=2k+1(kは自然数)

 

とおける

このとき

 

  n2+2=(2k+1)2+2

      =4k2+4k+3

 

この「4k2+4k+3」は素数でないと言えるか?

もし因数分解が可能ならば

1と自身以外の約数を持つので素数でないといえる

しかしこの式はkを含んだままでは

因数分解ができそうにない

 

なんとなく(a)の攻め手はアウトっぽい

 

 

それでは

 

「(b)素数が2つあればそれらは必然的に互いに素」

 

を試してみます

 

「互いに素であることを示す」場合は

いったん

「2数が互いに素でないとする」

と仮定してそこから矛盾を導く背理法がよく使われます

以下その手順で……

 

nとn2+2について

この2数が互いに素でないと仮定すると

 n=ka …(A)
 n2+2=kb …(B)
  (kは1より大きい自然数、aとbは互いに素である自然数)

とおける

(A)を(B)に代入し
 

(ka)2+2=kb

k2a2+2=kb

kb-k2a2=2

k(b-ka2)=2

 

ここで「k」「b-ka2」は整数なので

その積が右辺の2に等しい場合

 

(k、b-ka2)=(2、1)

 

  k=2 …(C)

  b-ka2=1 …(D)

 

(C)を(D)に代入し

 

  b-2a2=1

 

この式からaとbが互いに素でないことが言えれば

それが仮定の矛盾となるけれど

ちょっとそこまで至らない

 

 

(a)、(b)ともアウトっぽい

 

 

初心に帰って実験

 

nとn2+2について

nが素数のときに両者の値を具体的に羅列してみる

素数がキーなので値は素因数分解したものも併記

 

n=2のとき

n2+2=22+2=6

         =2・3

 

n=3のとき

n2+2=32+2=11

 

n=5のとき

n2+2=52+2=27

         =33

 

n=7のとき

n2+2=72+2=51

         =3・17

 

n=11のとき

n2+2=112+2=123

          =3・41

 

n=13のとき

n2+2=132+2=171

          =32・19

 

n=17のとき

n2+2=172+2=291

          =3・97

 

……

 

気付いたこと

「n=3のとき以外は

 n2+2の値はすべて3の倍数になっているのでは?」

 

となると3番目の方針が立ちますね

 

(c)nについて3で割ったときの余りで分類して考える

 

 

(c)を試してみます

 

ⅰ)n=3k(kは自然数)のとき

  nは3の倍数

 

  k=1のときn=3となり

  このとき

 

  n2+2=32+2

      =11

 

  これは素数である

 

  k≧2のとき

  n=3kは3の素因数を持ち

  素数ではない

 

ⅱ)n=3k-2(kは自然数)のとき

  nは3で割って1余る数

  このとき

 

  n2+2=(3k-2)2+2

      =9k2-12k+6

      =3(3k2-4k+2)

 

  これは3の倍数で

  素数ではない

 

ⅲ)n=3k-1(kは自然数)のとき

  nは3で割って2余る数

  このとき

 

  n2+2=(3k-1)2+2

      =9k2-6k+3

      =3(3k2-2k+1)

 

  これは3の倍数で

  素数ではない

 

ⅰ)、ⅱ)、ⅲ)より

nが3のときには

n2+2は素数となり

nが3の倍数でないときには

n2+2は3の倍数となり素数ではない

 

また3以外のすべての素数は

「3の倍数でない数」に含まれる

 

∴nとn2+2がともに素数になるのはn=3の場合に限る