ごんぎつね | ユークリッド空間の音
年玉を付加疑問文でもらいけり
台本のなく過ごしたる二日かな
成人の日に憧れる左官かな
紫雲英道カメラを縦に構えけり
斎場のある町ぶらんこの二人乗り
特急を真正面に曼珠沙華
うそ寒しどこかへ行ったベルマーク
メレンゲを押す指先の小春かな
短日や向こうの信号機は青
オリオンの下なるシャツの黄ばみかな
侘助や中年たちのiPod
冬雲に押されるままの観覧車
雪降るやひとりひとりが終列車
ポケットの鍵確かめる冬の暮れ
回数券の一枚余る年の暮れ
九条を知らずに読んだ「ごんぎつね」
(初出:『道標』524号)

