<カップの8>には、「向上心」「旅立ち」「恐れ知らず」などの意味があり、逆位置には「迷子」「延期」「頓挫」などの意味がある。カードの画像は、折角途中まで積み上げたカップをその場に遺し、次なる地へと向かって旅立つ男の姿を描いている。根気が悪く最後まで仕上げる事が出来ないのか、見切りが早く建設的な判断なのか。カードは、その両方を暗示し、どちらでもある。ただ、いずれにしても男の行く手は、平坦で歩きやすい道では無い。夜空に浮かぶ月は、心配そうに眺めている。
画像のカードは、以前にも当欄で御紹介した事のあるライダーウェイトデッキの出来の良い亜種の一つグミベアタロットである。78枚全てのカードがドイツの国民的な菓子=グミベアを主人公として描かれるコミカルでキッチュなパックである。

タロットカードに描かれたカップとは<愛情>だけを示している訳では無い。様々な感情を間接的に暗示し、その入れ物である「心」を具象的に可視化した表現である。
つまり、カードの中のカップには、怒りや嘆き嫉妬に欲望あるいは嫌悪などが詰まっている場合もあるということ。占いの為にテーブルの上に展開されたスプレッドに多くのカップのカードがあるからといって安心はできない。正位置と逆位置の読み替えや隣接するカードの影響等を十分に考慮してリーディングしなければならない。
「心の中に今までは無かった一つの感情が生まれ、それと同じものを誰かと交わし合う時に愛情や信頼で固く結ばれて行く関係が始まる。」これは、カップの1からカップの2へ繋がって行くシーンを表現した一例である。二人の関係が恋人同士であれビジネスパートナーであれ目標となる気持ちの方向は合致している。だから、安定感があってバランスが取れている。二者関係が紡ぎ出して行く今後の成果や進展にも大いなる期待も感じられるというものだ。しかし、これが三人になってくると少し話が違って来る。そこには三者三様のパーソナリティがあり、一人や二人の時とは比較にならない程の可能性とスケールが生まれる反面、不和が潜みやすく全体を不安定なものにしかねない。これを数秘術的に解釈すれば、「3つの点を結ぶ事で面積が生まれ、角の尖った三角形が形成される。四画形、五角形、六角形と進むにつれ徐々に角は緩やかになり円形に近づいて行く。依って三角形は未熟な円とも呼ばれる。」
なにも三人の家庭やグループが必ずしもアンバランスで不吉だと論じている訳では無い。だが、義父による妻の連れ子への凶行を知らせる報道が続くと考えないではいられない。
画像は、グリモー版と呼ばれる代表的なマルセイユ・デッキの一つである。マルセイユ・デッキとは、15世紀の終わり頃フランスのマルセイユ地方で作られていた最も古いタイプのタロットカードの一種のこと。復刻された物ゆえに印刷は綺麗だが当時のデザインは大雑把な感じが否めないのだが、このレトロ感が今ではかえって斬新でポップなムードを醸すから不思議である。
シャンパングラスを重ね合わせるタワーの一部の様に配置された三つのカップがカードに描かれている。これを上下逆さの逆位置の状態で見れば、如何にも不安定で無理のある構図になる。だが、忘れないで頂きたい。カップの3には、二者では成し得ない成功や充実を叶える潜在的な資質が描かれているという事を。

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