Fool's Journey 愚者の旅  Day78 月の魔力 | ∴MOLIVAN∵のブログ

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Success Fortune 筆頭占術士
フォーチュンアカデミー 専任講師

 ⅩⅧ THE MOON<月>は不思議なカードである。代表的な意味は「想像力」や「変化」そして「不可思議」。でも、だから不思議なカードだと言っている訳では無い。タロットカードは22枚が大アルカナ【メジャーアルカナ】と56枚の小アルカナ【マイナーアルカナ】で構成されている。古くは大アルカナと小アルカナのコートカード(トランプで言えばJ,Q,K)だけが絵札で描かれ、それら以外はマークx数で表現されていた。それを初めて全78枚を絵札化したものがライダーウェイト・デッキであり、それ以降の様々なデッキに影響を及ぼし、最もスタンダードなタロットカードとして現在に至っている。

 画像のカードはライダーウェイト・デッキのⅩⅧ THE MOON<月>。これは、ライダーウェイト・デッキに限った事では無いが、一枚のカードの中に様々な魔術的な暗喩や表現が施され、その象徴としてカードの中央に人物や悪魔あるいは倒れる塔や回転する輪などの象徴物が描き込まれる。だが、この月のカードを良く見ると中央部には誰も居ない何もない。パメラ女史の巧みな作画と配置により、主人公の不在を見る者に意識させない。

 シンプルに考察してみよう。<月>のカードなのだから当然の如く月が描かれるのだがそれは<星>や<太陽>のカードでも同じ事である。しかし、<星>にも<太陽>にも中央部には人物があり、加えて馬や鳥が絵としてのバランスと共にカードとしての意味を見事に補完している。<月>のカードに描かれた月は、太陽の光を反射した輝きとして日輪と重ね合わされ、その中に憂いを持った伏し目の横顔が浮かんでいる。この手法は<太陽>の時にも用いられるが馬に乗った幼児が主人公として中央に居る。<星>にも超人的な裸婦が居る。<月>は22枚の大アルカナの中で人が描かれていない不思議な一枚なのである。中央に描かれているのは、曲がりくねりながら頂上へ続く道。それは、「不穏な気配」「不安な胸騒ぎ」から「豊かな想像力」「精進」へと昇華して行く過程であり、その「目に見えない空気感」こそが<月>のカードの正体=主人公なのだろう。