Fool's Journey 愚者の旅 Day77 ソード8 | ∴MOLIVAN∵のブログ

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Success Fortune 筆頭占術士
フォーチュンアカデミー 専任講師

 見るからに痛ましいカードの一枚、ソードの8。ライダーウェイトデッキの制作者であるA・E・ウェイト博士は自身の著作物の中でこのカードを「脱出不可能な束縛では無く、一時的な忍耐」と記している。

 女性の姿で描かれているのは、腕力・抵抗力の弱さと同時に感情が閉じ込められている様子を表している。汚泥が溜まる地に素足で立たされ、周囲には8本の剣が突き立てられている状況では迂闊に動けば怪我では済まない危険がある。傷口に雑菌が入れば破傷風で命さえ落としかねないのだ。ましてや眼を塞がれていては敵が見えない。肉眼では見えない脅威にさらされているなら同じ事。

下手に動くな!恐怖に打ち勝て!勝機は来る!今は落ち着いて何をすべきか考えろ!

 コロナウィルスが5類に移行してから1年半が過ぎた。しかし、コロナ過を経験した私たちにとっては、未知の新型ウィルスが猛威を振るい緊急事態宣言下で外出を制限され家の中に閉じこもるようにして過ごしたストレスは忘れもしない。当時は、それでも我慢しなければいけない。平素から日本国民の民度の高さが国際的に称えられている。我々なら出来るはず。そして、人類は必ずや克服するだろう。と信じて居た。その事がソードの8を見かける度に思い出された。

 こんな形でソードの8を解説する日が来るとは思いもよらなかったが不思議なもので今の状況と大いに重なる。今後は、このカードの意味に「感染症」「パンデミック」「非常事態宣言」等を加えても良いだろう。そして、それは「いずれ克服される。一時的な苦難」として。

 画像はオリジナルのライダーウェイト・デッキを彩色し直したTHE GOLDEN RIDERからの一枚。誰が何の目的で彩色し直したのか不勉強で良く知らないのだが、正直どうなんだろうと思わなくもない。何年か前に世界最悪なキリスト肖像画修復と言われた事件があった。当初は修復を手掛けた高齢の女性に世界中から非難の声が向けられたのだが、この件が呼び水になり村には想定外の観光客が押し寄せ経済的には大いに潤った。そして、修復された絵の著作権収入の49%を女性が手にする事になるスペインの片田舎で巻き起こった騒動である。このデッキのリメイクを見ているとアノ時のキリスト画を思い出す事がある。