結婚情報サービス大手の一社が<DNA婚活>なる商品を提供しているという。
HPの説明によれば、口腔内の唾液を採取して送る事でDNAを解析し、同様の検査結果を元に<相性>の良い相手を紹介するといったものらしい。社によれば、これにより通常のカップリングより成婚率が高く、健康な子供に恵まれやすいと科学的に証明されているとのことだ。
凄い時代になったものである。現時点のマーケットにどれほど積極的に受け入れられるかは疑問だが、今後の長期的なデータ分析には強い興味を覚える。潜在的な病気のリスクや遺伝要素の医学的領域に於ける判断には信憑性を感じるが遺伝子レベルでの相性判断となると話は違う。いったい何の根拠で判定が行なわれるのか。それは、HLAと呼ばれる遺伝子情報に基づくものだそうだ。HLAとは白血球の型で1万6千通りあるとされ、赤血球にABO型で分類される血液型が存在するのと同様な白血球のタイプ。これを安直に血液型占いの拡大版と捉えてはいけないのだろう。HAL遺伝子に刻まれているのは免疫情報であり、よって双方の免疫情報が異なるほど二者の間に産まれた子は、より多くの免疫を持っている事になる。それは体臭にも影響を及ぼし、本能的に自分には無い免疫情報を多く持っている(匂いの)相手に魅かれる傾向があるのだそうだ。それ故、HLA遺伝子が恋愛遺伝子と呼ばれる要因になっている。
なんとなくHLAの事が理解できたとしても上記の理論から導き出される事は、種の保存・優性遺伝を求める本能の作用である。しかし、ヒトの人生は子を儲けた時点で完了する訳では無い。当該社の説明によれば、「HLAタイプが離れていればいる程、相手に対し恋心を抱き妊娠率も高くなるという論文は、メジャーな医学誌にも掲載されている」とある。つまり、HLAタイプを知り<自分と違う相手を選ぶほど>種の保存に限らず伴侶への好意的な精神性が継続しやすくなる根拠なのだ。ほんとうかな・・・。些か都市伝説のようにも聞こえる。様々な過去の事例を紐解くまでも無く、いずれ更なる科学的・統計学的な検証が成されるのだろう。だからHLA遺伝子が相手を想い続ける<心>にどれほどの影響があるのかは先の時代に委ねよう。
老婆心ながら一つの懸念が頭をよぎる。将来、HLA遺伝子の根拠によって結婚を決意し幸せになるカップルが多く現れる事は歓迎できる気がするが逆にそれゆえに想い人との結婚を諦め、引き裂かれる恋人同士が居ないのだろうか。宗教と科学の間には暗黙の不可侵条約が成立している。恋愛と科学の間はどうなって行くのだろうか。ナチスによるホロコーストや旧優生保護法のような事にならなければ良いのだが。
そもそも相性とは何ぞや。という件に関しては、いずれ当ブログで取り扱うつもりである。画像は、ゴールデンドーン・タロットのペンタクル10。このデッキは、フリーメーソンのメンバーであり黄金の夜明け団を設立したマクレガー・メイザースの手記を元に妻ミナ(哲学者アンリ・ベルグゾンの妹)が作画したオリジナルをロバート・ワング博士が筆写したものを後にイスラエル・リガルディ博士によって公開され、後進のA・E・ウェイトやアイレスター・クローリに多大な影響を及ぼしたとされる。列挙された名前を聞くだけで、その世界が好きな者にとっては心が躍る。
ペンタクルの10は、継承、相続、家族、資産等の意味を持っている。タロットに於いての財産とは、貯金残高や有形の資産ばかりを指しているのではない。信頼や絆といった無形の財産も示唆している。電子顕微鏡なら見る事も可能なのだろうが親から受け継ぐ遺伝子情報がそのどちらに分類されるにせよ、ペンタクルの10に現代的なリーディングの一つとして「DNA」を加えるべきだろう。
