2019年の春にパリの大聖堂が紅蓮の炎に包まれた。象徴的な尖塔が焼け落ちる衝撃的な映像を多くの方が報道で見ただろう。クリスチャンでなくともパリを訪れた事が無くとも、この歴史的な世界遺産の存在は御存知であったはず。日本でも劇団四季によるロングラン上演になった「レ・ミゼラブル」の原作者であり、フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴー作の「ノートルダム・ド・パリ」はディズニー映画「ノートルダムの鐘」としてアニメーションでリメイクされている。古い時代の邦訳「ノートルダムのせむし男」と言った方が聞き覚えがあるかも知れない。いずれにしても、物語の舞台になった場所こそがノートルダム大聖堂なのである。
当時マクロン大統領は、いち早く再建を宣言し、既に多くの大企業や個人から多額の寄付の申し出が寄せられているという。日本からもフランスと繋がりの強い企業などが寄付や協力を表明している。そして、御退位間近の天皇皇后両陛下がフランス政府と大統領宛にメッセージを出されたそうだ。海外の文化財破損に関し、このような対応をなさるのは極めて異例とのこと。世界的規模での損失と悲しみの大きさが窺い知れる。
折しもフランス国内では、経済格差に不満を募らせる市民によるデモが続いており、寺院の修復に巨額の寄付と国家予算を投じるより、先に国民の多くが苦しむ問題に政府は注力すべきだとの声が上がっていた。現在は急ピッチで修復工事が進んでいるという。2024年に開催されるオリンピックのパリ大会に間に合わせたいのだろう。
タロットカードの16番目は「塔 THE TOWER」。かつては「神の家」と呼ばれることもあったカードである。16とは物質と覇権を根源的に現す4という数値が二乗され、緊張感と顕在化が高次元で結実した数値である。このカードの解釈は、旧約聖書に登場する<バベルの塔>になぞらえて解説されることが多く、不遜、傲慢、破壊、混乱、天罰、火災、落下、などの意味を持つとされる。
当初火災の原因は、意図的な放火では無いようだが目下調査中と発表されていた。しかし決定的な究明には至らず、最終的に「詳しい出火原因は不明」と結論付けた。実際のところ漏電や配線のショートなどの電気的な要因であれ、人為的な火の不始末であれ、防火防災体制が万全であったとは言い難い。その点では、いずれにせよ人の問題である。人間の驕った気の緩みが招いた災難であるならば、世界中が強く強く、これを教訓にしなければならない。
