あの日は
とても空が高くて
僕らは何処までも
このまま歩いて行けると
思っていた
それくらい白いコロナが
ふたりを揺らしていたから
なのに繋いでいる掌の熱量は
少しずつ
ほんの僅かに
冷却されていて
傍らで頭ひとつ低い
君の笑顔は
相変わらずなのに
何故だろう
この行間に綴られた空白は
君の赤いサンダルを
眺めた
何時もより足取りが
重い気がしたんだ
不意に口から出た言葉は
「嫌いになったかい?」
艶やかな唇の端で
吐息をもらしながら
首を横に振り
「そうじゃないの。
でも、これ以上は溶け合えないのよ。ゴメンね。」
君の心が痛くなってたのに
今まで気付けなかったんだ
思わず空を仰ぎ見た
それはまるで
総てを包み憐れむほどに
聡明過ぎる程に青く
何かを手離すには
丁度良い天気
お互いの意図が
考えなくてはならないなんて
それはもうLovelessだね
一瞬の煌めき
もう一度…
愛する言葉を掛けることも
甘い夢を見ることも
同じ耳にしたルビーのピアスも
恥ずかしそうに着けてくれた
シルバーの指輪も
運命線から薄れ
消えていくんだね
ゆっくりと
繋いでいる手と手離そう
紡いでいた糸をほどこう
そして柔らかな日差しの下
立ち止まった僕ら
歩き出そう
ほら
雲ひとつ無いなんて
素晴らしい景色じゃない
思い出はモノクロのフィルム
いつだって
網膜のなか焼き増せる
だから哀しくなんかないよ
だけど最後に
もう一度だけ
名前を呼んで
刻みつけるから
そしてサヨナラ