空港で初めて来る会員さんを待つ間本当にやって来るのだろうかと毎回一抹の不安が過ぎるものである。これは会員男性とメールだけのやり取りのせいだろう。しかし彼とは何度もSkypeを通して話しているのでその類の不安は全く感じなかったのだが英語が話せない彼が上手く辿り着けるだろうかという心配が頭の中を過ぎっていた。彼が乗っている筈の便が到着してから1時間半が過ぎようとしているが彼はまだ出てこない。私の不安がだんだん現実身を帯びてくる。

 ロビーにいる出迎えの客も私を含め後3人程である。今日はこの便が最後なので空港内も静まり返っている。ただ今まで殆どの会員さんが一番最後に出てくるので望みは捨ててはいなかった。もし万一乗り継ぎ先のイスタンブールで何かトラブルでもあれば私の携帯に電話を掛けて来るはずである。

 ついに私の前で待っていたカップルも待ち人と一緒に去って行った。不安が絶好調に達したその時通路の奥の方からこちらに向かって彼らしい一人の男性がやって来た。K氏である。私はようこそキシノウへと言って彼と深い握手を交わした。

 すると彼の口からこんな言葉が飛び出してきた”いやー危なく乗り遅れて今日は来れないかと思いました。よっぽど西川さんの携帯に電話をしようと思った位です。”
彼の話によるとイスタンブールの空港に降り立ち直ぐに係員にキシノウへの便は何処で待っていれば良いか手振り身振りで尋ねたそうである。そして彼が教えてくれた通り行列の後ろに並んで待っていたそうだ。いざチェックインが始まり彼の番になるとカウンターの女性から貴方のチケットはここのカウンターではないと言われたそうだ。(多分そういう事だろうと感じたらしい)

 慌てて他の係員にチケットを見せながら場所を尋ねたら今度も別のカウンターだったらしい。待ちくたびれるほど有った待ち時間も既にあと僅か、離陸15分前だったそうだ。そんな時慌てている一組のカップルに出くわしたそうだ。どうやら彼らもモルドバ行きの飛行機のゲートを探しているように感じたので彼も彼らの後を走って着いて行ったそうである。あの時彼らに出会わなければ今彼はここにいなかったに違いない。

 初めての一人旅しかも英語も殆ど話せないと言う状況でありながら何とかキシノウまで無事辿り着いたK氏。彼からこの苦労話を聞いた時私はきっとK氏は今回のお見合いで理想の女性に回り逢えるだろうと確信したのであった。