行進エレクトリックアコースティック10
駅前で歌うストリートミュージシャン。
別に珍しい眺めではないだろう。
別に特別上手いわけではないし、
さらに言えば特別可愛いわけでもない。
なんて言い方をすると人の(女性の)ヒンシュクを、
いつもより3割増しでご購入さーせん。
ただ微妙にエキセントリックで存在を無視出来なくなる子だった。
気が付けばファインダー越しにレンズを向けてしまっている自分を発見。
年齢は、推定二十歳。
ほつれたニット帽に赤い縁の大きめの眼鏡。
緑とも茶色とも判別の難しい(薄汚い)ロングコート、
の前を開けっ放して中に赤チェックのシャツ。
スカートとレギンス、磨り減ったブーツ。
何より不可思議なのはストリートにも関わらず、
アコースティックギターではなくアンプの繋がってないエレキギター。
黒のフェンダー、テレキャスターを抱えている。
掻き鳴らしても誰にも聴こえるはずもない。
見た目エキセントリックな若い女の子だが、
その声は意外とハスキーで力強かった。
上手くはないが説得力がある。
対称的で引き込まれて聴き入ってしまって、
そして初めて気が付いた。
歌詞がひどい。
と言うより意味不明だ。