映画『レンブラントは誰の手に』を観た時に偶然予告で観た『ビバリウム』をやっと観に行きました!
あらすじは公式サイトをご覧下さい!
それでは早速感想です。早速ネタバレして行きます。
まずオチなんですが、あのオチは私すごい好きです。
【増殖】じゃなくて【世代交代】するやつですね。
成長段階であの子供が不動産屋の子供というか次世代なのは分かったし、そもそも冒頭の郭公の托卵が全てのネタばらしだったので、不動産屋という職業をしている謎の生き物がマイホーム探している人間に次世代=雛を育てさせているという事はすぐ分かったんですが、あのオチは予想と違っていたので良い意味で「おぉ!やるじゃん!」と思いました。
因みに私の予想のオチはあの子供が新しい不動産屋を開く、というものでした。
あの青年が不動産屋に戻って来て、マーティンと世代交代する、あの場面、淡々と進んで行くあの感じ。
顔色ひとつ変えずにマーティンの遺体を袋に詰めて、その、コンパクトにして…引き出しに入れて…あの引き出し何処に繋がってるん?
まぁ親の葬式を出すのは大体子ですからね…
冒頭でトムとジェムがやっていた事がラストに繋がっていたっていう事がパンフに書いてあってゾッとした。
木から落ちた雛鳥を埋めてあげるトムの最期は自分が掘った穴に葬られてしまうし、子供達とものまねで遊んでいたジェマは終始少年に自分が言うことあれこれものまねされるし。
冒頭の場面が全部終盤に繋がっているのね、皮肉というか「うわぁ…」ってなる。
トムとジェマがもっと嫌なカップルだったらなんだかこんなに切ない気持ちにもならなかったのになぁって思った。
後悔しているジェマに「君がいい人間だから」って言うトムさぁ、優しいよなぁ。
こんな事に巻き込まれなくて普通に結婚していたら幸せな家庭を築いていたんではなかろうか、と思ってしまう。
劇中、少年がジェマを「ママ」と呼ぶのにトムをパパと呼ばなかったの何でや?と思ったんだけど、これはご飯食べさせてくれる方が大体女親で人間の言葉ではそれを「ママ」と呼ぶからっていう単にそういう事だったのか…な…
終盤、ジェマの急襲に遭った青年がいきなり四足歩行になって(正直ここが一番不気味で怖かったわい!)道路をべろんってめくった先にある地下空間に逃げるあのシーン、そこめくれるんかい!!!って思った。
あの街が街ではなくて街の姿をした異常な場所の正体が判明する瞬間なんだけど、ああいう演出すごい好き。
ホラーチックではあるんだけど、なんかちょっと童話の世界っぽさもあるんだよね。
私はちょっとだけ「不思議の国のアリス」を思い出した。地下に落ちるからかな。
作中で【マーティン】の正体は一切明かされない。
異星人なのか、地球の生命体なのか、そもそもあの赤ん坊はどうやって生まれるん?とか。
ジェマが不思議の国のアリス体験している時に他の【家】で育てられている子もいたから子供が一体しかいない、という事も無さそうだけど。
結局マーティン族(属?)の目的は不明なんだけど、人間社会を浸食して行くわけでもなく、乗っ取ろうとしているわけでもなく、人間を上手く利用して子供を育てて成長したら世代交代して…っていう、ただそういう“種”としての生命のサイクルに従って淡々と生息しているだけなのかもしれない、と私は思った。
それこそ郭公が当たり前のように他の鳥の巣に卵を産むように。
ホラーといえばホラーなのかな。ホラーか。ばりばりの恐怖に満ちたホラーというより不気味で奇怪な絵本を読んだような気分になりました。
(絵本、てわりには大人のシーンあるけどね!)
予告観てたらずっと期待してた作品なので個人的には満足です!
