発売当時、私の周囲では「暗い!」と不評な曲でしたが、私はこの曲を聴いてた時「おぉ!」と感動したものです。
今でも大好きな曲なんだなぁ。
今日は私の思い出話をします。
これツイッターとかで言ったらバズっちゃう系だと思うんですけど私はバズる系ツイッタラーではないのでバズりません。
パクツイされても良いんですけどパクっといてバズらなかったら怒りますよ。
それはさておいて思い出を喋ります。
あれは何年前だったか。20代前半くらいだったかな。
たぶんSound Horizonの何かだったと思うんですけど、夜行バスで関東に戻って来た時のこと。
新宿駅の朝の早い時間。まぁまぁ人が多いこと。
私はでかい荷物を抱えて階段をえっちらおっちら上がっていた時。
ふと見上げれば目の前に更にでかい荷物を抱えたおばあちゃんが。
私は声をかけました。
危なかったし、私も荷物でかいし貧弱だけど、お互い一人で上がるより少しは安全だろうと思って。
朝の新宿駅の階段はとにかく駆け足の人が多いんですよね。都会ですから当然。
大きい荷物持っているとそれだけぶつかるリスクも高い。
おばあちゃんはとっても優しい人で、話しかけた私ににこにこと返事をしてくれて荷物を預けてくれた。
「じゃあ一緒に上まで行きましょうね~」なんて声を掛け合って再び階段を昇り始めようとしたその時、背後から声がしました。
なんぞ?と思って振り向いたら、メガネのちょっとイケてる偏差値高そうは男子高校生が、DKがいた。
君、さっきちょー急いで階段降りていたよな!?ちょっとぶつかりそうになったから覚えているしメガネも制服をイケていたから印象に残っていたぞ。
このあたりのやりとりは、ちょっと明確になんて話したかは忘れたんですけど、とにかくそのDKが「自分もお荷物持ちます」みたいに言ってくれたんですよ。
私はびっくりした。そりゃそうだ。君さっき階段駆け下りていたよね!?
ここ階段の真ん中くらいだけど、わざわざ引き返して来たんかい!?と。
DKの声はちょっと噛み噛みでうわずっていた。たぶん緊張していたんだと思う。
おばあちゃんはちょっと驚いてからまたにこにこ笑って、私が持っていたでかい荷物をDKに渡すように優しく言ったのだ。
そして私に「一緒に階段昇ってくれる?」と声をかけてくれた。
私はおばあちゃんとそのDKに気を付けながら、3人でゆっくり階段を昇った。
DKは、ひょっとしたらこれまでの人生で一番でかくて重い荷物を持ったかもしれない感じだった。
ホームについたらおばあちゃんは私とDKにお礼を言ってくれた。
DKはぺこりとちょっとだけ頭を下げたらまた猛ダッシュで階段を降りて行った。
私とおばあちゃんは彼が転ばないようにちゃんと下まで行けるか、見えなくなるまでずっと姿を追っていた。
DKは転ばなかった。
私が乗る山手線はおばあちゃんとは反対方向だったので、おばあちゃんが乗る側の電車が来るまで一緒にいた。
おばあちゃんは再び荷物を抱えて電車に乗って行った。
大丈夫かなぁと思って暫く見ていたけど、ちらりと席を譲って貰っている姿が見えたのでほっとした。
あの時のDKは、たぶん階段を駆け下りる瞬間におばあちゃんの姿を見て、通り過ぎてしまったけどやっぱり気になったきっと戻って来たんだろう。
それはきっと勇気がいる事だ。しかも既に私が声をかけた後で。
私ならきっとスルーしてしまう。「あ、もう手を貸してる人がいるからいいや」と。
おばあちゃんは声をかけて来た私もDKもどちらも無碍にしないよう、DKには荷物を持たせて、私には階段を昇る付き添いを頼んで。
おばあちゃんを助けるつもりでいたけど、実はその逆で、私にもDKにも華を持たせてくれたのかもしれない。
う、勝てないな、と思ってしまう。
今でもふと思い出します。あの二人のことを。
おばあちゃん、もう朝の新宿駅ででかい荷物持って階段昇ってるようなこと無いといいなぁ、とか。
あのDKはどんな大人になったんだろうなぁ。これが少女マンガだったら恋が始まっていたわ~…とか。
私の中の「この話をする時に何に恥じることなく堂々と胸張って誇れる己であろう」エピの一つでした。
良い思い出って人の人たるの柱になってくれるよね。