こんにちは
トータルメンタルサポート
ラポール・ラボの
ジュンコ田中です
今日も私の大好きな「働き方の哲学」の
著者:村山昇先生の
サイトをシェアさせていただきます。
村山先生は
〜14歳から大人まで
生きることの根っこをかんがえる〜
というコンセプトでわかりやすい
どなたでも読める哲学の読み物を
無料で公開してくださっています。
↓
1.自己・2.成長・3.価値・4.人の間・5.人生
という構成になっていて
今日は、3.価値の
「美しい」について[1]~美とはなんだろう?
をご紹介します。
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〈じっと考えてみよう〉
玲子(れいこ)、
翔太(しょうた)、
夏穂(なお)の3人は、
美術の授業で
「あなたが最近『美しい』
と感じたものを
いくつかあげなさい」
という宿題を
与えられました。
その宿題について
放課後話しあっています……
玲子:
わたしはまず、
なんといっても、
これ(ファッション雑誌を開く)。
大好きなモデルの
MIKAKOよ。
どう、彼女の
「美しい顔」
「美しい髪」
「美しい脚」
「美しい服」、
どれも文句なしに
カッコイイでしょ。
夏穂:
わたしは、
そうだなぁ、
旅行で見た
「美しい風景」とか、
野草の花びらに見つけた
「美しい模様」とか。
翔太:
「美しい」っていう言葉を
男子はあまり使わないんだな。
でもそういえば、
書道の先生は、
「美しい字は、美しい姿勢から」
っていうのが口グセだ。
夏穂:
そうかぁ、
「美しい」って、
なにも物にかぎらない
ということか。
姿勢は物じゃないから。
玲子:
最初にバイオリンの曲を聴いたとき、
「音色が美しいな」と思った。
これも物じゃない。
翔太:
だったら、
サッカーやってるときにも出るね。
「あれは美しいプレーだね」とか、
「きれいなシュートだった」とか。
□問い:
あなたが最近「美しい」と
感じたものはなんでしょうか?
3つあげてみましょう。
ここでは美しいを広くとらえて、
きれい、カッコイイと
置き換えてもいいでしょう。
そして、
あなたはそれらのなにを
美しいと感じたのでしょうか?
さて、
あなたは「美しい」と
感じたものになにを
あげたでしょう。
玲子がファッションモデルを
例にしてあげたのは、
人の容姿や服装に
ついての美です。
目についた物体の
色や形をきれいというのは、
もっとも一般的な
「美しい」です。
そうした外見の美については、
ほかにも
「自動車のデザインが美しい」とか
「美しく印刷されたポストカード」
「造型が美しい建築」
などのように言えます。
夏穂があげたのは
風景や花の美しさです。
自然には美しいと
感じるものが
たくさんあります。
富士山や夜空に
横たわる天の川のように
雄大な美もあれば、
小さな花の模様や、
顕微鏡でしか見られない
結晶の規則的な配列など
微小の美もあります。
翔太は
姿勢の美しさを
言っています。
物以外にも
美はあります。
姿勢はしぐさや
振る舞いといった
動作的なことです。
動作的な美が
だんだん洗練されてくると、
技(わざ)の美
になってきます。
「美しいプレー」とか
「きれいなシュート」
もその種類です。
ちなみに、
動作の技を美として
芸術的に追求していくものに、
能や歌舞伎、
茶道などがあります。
また、美しいは
見て感じるだけでは
ありません。
「美しい音」のように
耳で聴く場合もあります。
あるいは
舌で味わう場合もあるでしょう。
食べ物が「おいしい」を、
漢字では「美味しい」と当てます。
このように「美しい」とは、
物や人の外面にあらわれる
なにかについて言うことが多い。
ところが、
わたしたちは人の内面にも
目を向けます。
内面が澄んでいて、
善いことをすすんで行う人のことを
「あの人は心が美しい」
と言います。
人の内面は目に見えませんが、
目に見えないものを
心で美しいと感じるのです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
さて、
ものごとが美しいと感じるとき、
わたしたちはそこから
なにを感じ取っているのでしょう。
───それはおそらく、
ものごとが持っているなにか
「良いこと」であったり、
「すぐれていること」であったり、
あるいは「善いこと」
「生きる力の根源に近いこと」
ではないでしょうか。
ここでの「良いこと」とは、
たとえば、
快さを与えてくれる、
清らかである、
整っている、
秩序がある
などのような状態をいいます。
そうした性質・状態が
美しさに通じているというのは、
次のようなことを想像すると
わかりやすいかもしれません。
○快さを与えてくれる
→ショパンの作った
ピアノ曲の旋律は美しい
○清らかである
→山の雪解け水が
集まって川をつくる。
そのキラキラとした
流れは美しい。
○整っている
→朝礼の列が縦横に
ぴしっと整っている
と美しい。
○秩序がある
→機械式腕時計の
裏ぶたを開けると、
小さな部品が秩序をもって
正確に動いている。
それは美しい。
○うっとりさせる
→その国民的アイドルは
美しい顔だちで
多くのファンを魅了した。
○理にかなっている
→鳥が飛ぶ姿は美しい。
それは自然の法則にさからわない
無駄のない動きだから。
○機能的である
→扇子(せんす)は
広げれば風を起こす
大きな形となる。
そして蛇腹(じゃばら)折りにして
棒状に収納できる。
この機能的な形は美しい。
また、
「すぐれていること」
というのは下のような
性質・状態のことで、
これもまた美しさに
通じています。
○能力がたくみに発揮されている
→何十年もの修行を積んだ
職人さんの手の動きは美しい。
○研ぎ澄まされている
→アインシュタインの
論文は明晰で、
導き出された法則の
数式は美しい。
○品格がある
→この書は実に美しい。
書いた人間の気高い精神が
込められている。
さらに、
「善いこと」というのは
次のような性質・状態のことで、
美しさに通じています。
○正しい
→発展途上国に渡り、
死ぬまで学校建設に献身した
彼の生き方は美しい。
「生きる力の根源に近いこと」
というのは
次のような性質・状態のことで、
やはり美しさに通じています。
○生命力に満ちている
→春の若葉の輝きは美しい。
○懸命である
→ひたむきに努力する
彼の姿は美しい。
○不可思議である
→なんの力が
この微細で美しい雪の結晶を
つくるのだろう。
○超然としている
→この無限の宇宙に広がる
無数の星々は美しい。
[文:村山 昇/イラスト:サカイシヤスシ]
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