子どもが小学生の時、学級崩壊を複数回経験した。子どもが苦にしていなかった(適応していた)年もある。

 

明らかに通常級が難しいと思われる生徒が親の許可が出ず、少人数教室に行けない。授業中ずっと教室内を立ち回り、歌を歌い、他の生徒の教科書を奪い、ちょっかいをかける。なんとか先生が座らせても延々と歌う。奇声をあげる。先生が黒板に戻ると、また立ち回る。共鳴した他の生徒も立ち回り始め、座っている子もお喋りを始める。授業参観に出席して驚いた。普段通りの様子をありのままに見せたのは、もしかしたら保護者に気づいて欲しかったからかもしれない。

 

だけど、この時、その保護者たちは『担任の指導が悪い』と文句を言ったそうだ。担任の先生は当時5年目。過去4年連続で学級崩壊を起こしていると噂されていた先生だった。あの時、担任が評判の良いベテラン教師だったら保護者の判断も違っていたかもしれない。

 

生徒が立ち回る→周りも騒ぎ出す→生徒を座らせる→『静かにしなさい!』と黒板に戻りながら先生が叫ぶ。→また立ち上がる→騒ぎ出す→そのうち小さな喧嘩が始まりもっと騒ぎだすのループ。先生1人で対応するのはもはや困難だったろう。しかし加配がつくのは保護者の同意があってからのこと。先生の指導力のせいにしたい保護者の気持ちは痛いほど分かる。同意するのはすごく勇気もいる。

 

少人数クラスはその子に合ったペースで、無理なく学校生活に馴染めるように対応してくれる。実際、少人数クラスに行って驚くほど暴力が減って落ち着いたお友達もいた。普通級と行き来しながら高学年から完全に普通級に移行して中受をしたり、公立高校から難関大学に合格した同級生もいる。昨今の中学校での内申点問題もあって保護者の判断で個性に合った手厚い対応をしてくれる大学付属の私立中高一貫校を選んでのびのびと楽しい学校生活を送ったという話も。今こうして振り返って、子どものペースを理解して判断することの大切さと難しさを改めて思う。

 

 

一年が終わる最後の参観日、授業は工夫されていた。生徒が入れ代わり立ち代わり、黒板前に集まって自分の答えや意見を書いたり貼り付けたりする方法に。先生はプロ。保護者に見せるのことも隠すこともできることを知った。