「鶴の港の長崎に初めて生まれた喫茶店」は、キッサテンかキッチャテンか | 九州最古の喫茶店。ツル茶んのマスタ-のブログ

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創業大正14年、九州、長崎の喫茶レストラン「ツル茶ん」の三代目マスタ-のブログです。姉妹店ヴィンランドも含め、長崎の魅力発信、マスタ-の個人的趣味など、掲載してゆきます。
長崎名物。「トルコライス」や「元祖、長崎風ミルクセ—キ」が大人気。

 
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喫茶店は、キッサテンかキッチャテンか
 私が、子供の頃,喫茶店をキッチャテンという人がいた、田舎の人とか、歳をとった人が云う傾向があり、子供心にも、恥ずかしい気がした。例えば、「キッチャテンでコーヒーでも、飲うじいこか。」という具合。ふざけて言うのが、殆どであった。
 ところが、数年前、私はある発見をした。友人から貰ったなつメロのテープを聴いていたときである。ここで、しばらくこのテープを聴いていただきたい。(と、テープをかける。)
 これは、コンチネンタル:タンゴの名曲「小さな喫茶店」である。 
 昭和十年十二月、発売。ニットーレコード、歌は田中福夫、唄川幸子.訳詞、沼津太郎、とある。歌詞を紹介しよう。
    小さい静かなあの店   美味しいコーヒーを飲ませた。
    本当に素敵な喫茶店(キッチャテン)、あの頃を見つめると、
    二人で静かに過ごした店、想い出は過ぎたこと、
    今日の日に、また来てみると、想い出は甦るよ。
                    (以下省略)    
 バースの部分で一回だけ、はっきりと、キッチャテンと,発音しているのである。 
 私は仰天した。これは、大発見ではあるまいか。全国で発売されたレコードである。キッチャテンという言い方は、かなりポピュラーなものだったのだ。、 
 何年かたって、私はNHKのアーカイブスの番組を見ていた。今は亡き、藤山一郎とフランク永井の対談である。二人とも喫茶店に関する歌を歌っている。
 「待つは君ひとり、君ひとり、逢えば行く、ティー・ルーム」は、藤山の東京ラプソデー。「あーあ、ビルのほとりの、ティールーム」は、フランクの「有楽町で逢いましょう」。
 「二人とも、ティー。ルームと歌ってるけど、ティールームと云う人はいなかったね。」「キッサテンですね」とフランク。すると、藤山が、「いや、始めは、キッチャテンと、云ったんだよ。」藤山は、昭和初期に活躍したモダン・ボーイ。間違いはあるまい。
 この二つの事から、キッチャテンは、市民権を得た。決してふざけた表現ではなかったのである。
 もともと、「喫茶」という日本語は、鎌倉時代に遡る。中国から、伝わったお茶を味わい、飲む段取りを作法とした時代に発生した言葉だ
 因みに、私は、前出の歌手、田中福男の消息をしらべた。
 東洋音楽学校卒業の彼は、優秀なテノール歌手で、戦前の日劇の舞台などで活躍し将来を嘱望されたが、昭和十八年、フィリピンで戦死していた。あたら有為の若者を戦争は奪ったのである。      
        
PS 
と、いうことで、「鶴の港の長崎に初めて生まれた喫茶店」といわれる「ツル茶ん」は「ツルチャン」と発音
されるのであった、、、!?                                        三代目