シューベルト
交響曲第4番ハ短調D417「悲劇的」
ブルックナー
交響曲第7番ホ長調WAB107
指揮:上岡敏之
コンサートマスター:崔 文洙
【感想】
前半、シューベルトの交響曲第4番。
悲劇的ってタイトルは、名曲よくあるあるな第三者が名付けたあだ名でなく、シューベルト本人の命名らしい。
但し、悲劇的ってほど悲劇感はなく、ロマン派初期のオペラの序曲の様な劇的な交響曲。
木さんは、この曲の熱心な聴き手ではないので、上岡さんの解釈云々は分からないけど、木さん所有のジュリーニの指揮した演奏解釈(ジュリーニは重厚雄大)とは違い軽いと言うか軽妙洒脱。
細かい動きも面白く、時折脱力的にふっと息を抜く感じは上岡さんの自流かな。
ただ木さんの心、ここに在らずだった為、何となく聴き通した感は否めず、気づいたら終わっていたって感じ。
浮き立つような木管は印象的だったけど。
後半、ブルックナーの交響曲第7番。
木さんがブルックナーに目覚める以前からブルックナーの交響曲では取り分け親しみやすかったので、ブルックナー苦手でもこの交響曲はよく聴いていた。
ブルックナーに目覚めてからは、逆にちょっとこじんまりとしてるかなと感じることがあり、5番や8番の方が今はお気に入りかも。
ただブルックナーらしくない(笑)歌謡性あるこの交響曲はやはり魅力的。
さて、上岡さん…どう料理するんだろう??
上岡さんのブルックナーの7番と言えば過去にヴィパータール交響楽団と録音しているけど、それはとても珍演(笑)
多分ブルックナーの7番では史上最長の遅さでは。
第1・第2楽章では60分超えていたと思う。
ブルックナーは、どんなテンポで演奏してもそれなりに決まる不思議な作曲家だけど、これは遅すぎ。
何を聴いてるのか分からなくなるくらい(笑)
上岡さん本人も宇野功芳さんとのインタビューで「音の大伽藍を打ち立てたかったのですが、失敗だったかな」と言ってるくらいだからとんでもなく変な演奏(笑)
もし興味ある方いたらCDを聴いてみてください。
忍耐なくして聴けません(笑)
ところで本日のNJPとの演奏は、流石にヴィパータール交響楽団との珍演奏でははない。
ただやっぱり個性的なブルックナー。
エキセントリック🎵
ヴィパータール響ほどではないけど、第1・第2楽章はかなり遅い方では??
両楽章で50分は超えていたと思う。
この遅さならギリギリ、ヴィパータール響との何を演奏しているのか分からなくなるようなことはなく、上岡さんらしく弱音に拘った丹念な演奏。
強弱の幅も広く、弱音の細やかさから強音の轟きまでの表情付けが相当細かい。
故に演奏する方も聴く方も極度の緊張を強いいられる。
第1・第2楽章は耽美的なブルックナー。
それでいながら第1楽章終結部の狂わんばかりのティンパニの強打、第2楽章のクライマックスでの地獄の門(決して天国ではない…破天荒なワーグナーは地獄に堕ちたのだ)が開いたかのような壮絶な響き(特にティンパニの轟)は、ブルックナーの7番の幾つかの演奏を聴いてきたけど、こうした解釈は初めて(木さん的には第2楽章のクライマックスは、ノヴァーク版のティンパニ&鳴り物楽器が鳴り響く方が好み)🎵
また上岡さんが採用したハース版は、本来第2楽章のクライマックスでティンパニを含め打楽器は鳴らないはずだけど、上岡さんはノヴァーク版との折衷版を取り入れてティンパニを追加することでより一層効果があり、それはまるで最後の審判のようなクライマックス。
続くスケルツォはまるで野人の踊り。
クライマックスは阿修羅の如く。
フィナーレは、ブルックナーの交響曲でも小粒。
しかし、今日の上岡さんはヴィパータール響では失敗した大伽藍を打ち立てのではないか。
アグレッシブさと弱音を対比させ、テンポを遅めに取ることで小粒感はなく、壮大さを増したような気がする。
但し、恣意的な箇所もあり、そこは好みが分かれるところ。
全体的にマーラー的な解釈をブルックナーにした感はあり。受け入れられない人には全くダメだと思う。
面白さはピカイチだったけど。
但し木さんも感動したかと言えば、微妙。
もちろん今日は音楽を聴いても入り込めない心境もあったから、もし音楽がスっと入り込めたならまた違った印象になったかも。
マイクも立っていたので、CD化される可能性もあるので、製品化されたならじっくり聴いてみたいと思う。
今日のみなとみらいは、残念ながらホールはガラガラ。
台風の影響かしら。
終演後の上岡さんが指揮棒を下ろすまで、ブラボーや拍手ないのはみなとみらい聴衆のマナーの良さ。
譜面台には楽譜は置いてあったけど、上岡さんは開くことなく暗譜で指揮。
相変わらずの屈伸運動と顔芸の上岡さんの指揮は、木さん的は好き。
NJPは、金子さん抜けた木管には不安もあったけど良好。
弦は厚みがもう少しあれば。
金管は、健闘した方だと思うけど、ホルン・ワーグナーチューバに美感あれば、もっと上岡さんの解釈が徹底できたかなって感じ。
ティンパニはシューベルトとブルックナーでは奏者は違い、ブルックナーを担当した川瀬さんは見事だった。
【DATA】
2019.9.8(SUN)
14:00
横浜みなとみらいホール
帰りは台風の影響で電車は、計画運行。
タイミングよく何とか止まる前に帰れてよかった(╹◡╹)
【余談】
手元にアルミンク指揮NJPのブルックナーの7番がある。そして聴きながらこのブログを書いてる🎵
アルミンクの方はちょうど8年前の2011年9月9日・10日の記録。
アルミンクも遅めのテンポ。
但し、こちらは自然な感じ。
作為的なものがなく、アルミンクが感じたものを素直に表現。
オケもこの時代のNJPは安定している。
美しい音色。
ハース版採用。
第2楽章のクライマックスに打楽器はなし。
(アルミンクはハース版に拘ったらしい)
どちらが好みかと言えばアルミンクかな。
上岡さんのCD出たら聴き比べてみたいなぁ。
また評価が変わるかも。