新日本フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会サファイア【横浜みなとみらいシリーズ】第9回 | 音楽って素敵 ₍₍¶(ू⁄›˅̮‹ू∖)⁋₎₎ ♪♬

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クラシック音楽のコンサートなどなど拙い文章ですが、気侭に綴っています♪

ワーグナー
歌劇『タンホイザー』より「序曲とバッカナール」(パリ版) 
楽劇『トリスタンとイゾルデ』より「前奏曲と愛の死
楽劇『神々の黄昏』より第1幕「ジークフリートのラインへの旅」、第3幕「ジークフリートの死と葬送行進曲」
舞台神聖祝典劇『パルジファル』より「第1幕 前奏曲と第3幕 フィナーレ」

指揮:上岡敏之
コンサートマスター:豊嶋 泰嗣



【感想】
上岡さんとNJP。
この組み合わせ正直個人的にはアタリハズレがある。
上岡さんの拘りが良い方向へ行けば良いけど、拘りが裏目に出て不完全燃焼って時もある。
上岡さんの拘りにはいつも唸らされるけど、それが即感動に繋がらなもどかしさもあり。
前回聴いたマーラーの「復活」は、上岡さんの拘りとNJPの健闘で稀に見る名演になったけど、ブルックナーなどイマイチってケースも。
NJPの場合、客演指揮者の方が素直に感動できたことも多々あり(笑)
さて今回のワーグナーアーベントも一昨日のサントリー公演(ジェイド)の評判はSNS等でも今ひとつ。
そんな評判を受け、木さんも正直期待せず、みなとみらいへ。
しかし、それは良い意味で裏切られることに。
全編感動しっぱなし。
素晴らしいワーグナーアーベント。
上岡さんの弱音への拘りはいつもながら凄かったけど、フォルテの爆発も凄い!!
ダイナミックの幅が広く、耳を欹てないと聴こえない弱音から圧倒的な強音まで変幻自在にNJPを操り、また今日のNJPはそんなS的な上岡さんの指揮に徹底的に喰らいつき、両者が見事ぶつかり合い昇華していた…それぐらい壮絶な演奏でした。
ワーグナーと言えばマイスタージンガーとワルキューレの騎行など派手に鳴る作品の方が演奏効果も高くアドレナリンも分泌し大興奮するのですが、今日のプログラムのような渋い選曲は、外面的効果が得られない分、指揮者の技量が試されるものだけに、弦は16型の大編成ながら室内楽的な緻密さを上岡さんはオケに要求し、各所でそれが功を奏し、美麗なワーグナーを聴かせ、今日のプログラムに見事マッチしていたと思います(特にタンホイザー中間部、トリスタン、ジークフリート葬送行進曲の前半、パルジファル)。
もちろん美麗だけでなく、タンホイザーのバッカナールのリズムのキレ、ジークフリートでのアグレッシブな表現(かなり個性的なジークフリート…朝寝坊して慌てて起きてダッシュしているジークフリートって感じかしらw)などもバッシと決まり、お見事!!
またトリスタンやパルジファルの緻密でありながら、耽美且つ美しい音色には蕩けちゃうくらい陶酔。
日本におけるワーグナーの権威イーモリ公(飯守泰次郎氏)のようなドイツ風(と言っても木さんには何をもってドイツ風かは良くわかっていませんが…)の低音を土台にピラミッド型の重厚な演奏とは真逆とも言える時折フワッと軽くなる流線系上岡流ワーグナーは、人によっては「違う」のかも知れませんが、木さんの心には深く染みるワーグナーでした♬︎♡
特にワーグナー作品はまだまだ修行中の木さんには未だにその面白さが今ひとつだった「パルジファル」に今日はとても感銘。
「こんな名曲だったの!!」と「パルジファル」の良さが少しは分かったような。
しかも「トリスタンより美しい」と思わせた上岡さん、今日は神がかってました♬︎♡
前回の「復活」もかなり良かったけど、今日のワーグナーアーベントはそれを超えるくらい感動。
涙腺崩壊状態でした。
因みに今日の席は、指揮者ガン見できる場所。
上岡さんの独特の屈伸運動するアグレッシブな指揮姿や表情(顔芸)などしっかり見れ、またマイクスタンド掴んで指揮したり、指揮台にある手すり(後側)を壊すんじゃないかと揺らしたり、本当上岡さんの指揮姿は見ていて面白い。
またオケも近かったので、直接音がハンパなく、SNSなどで指摘されたサントリーの時の弦の薄さはあまり感じず、逆に近いので弦の動きや細やかさなど良く聴こえ、上岡さんの室内楽的な意図が良くわかるなど楽しめました。
しかし、今日のNJPは凄かった!!
上岡さん以上に神がかっていたような。
耳でわかるようなミスはなかったと思うし、オケの集中力が凄かった!!
近かった分、どの楽器も良く聴こえ(但し各楽器のバランス感は良く分からず)、またみなとみらいの豊潤な響きとが相まってそう感じた可能性はあるけど、木さん的には今日のNJPには大満足!!
最高のNJPを聴くことができました。
特にホルンの日高氏の名人芸(ジークフリートなど)も凄かった。
残念なのは、日高氏は客演奏者。
客演に頼らなきゃならないのは、今のNJPの問題かな。
また久しぶりの豊嶋さんのソロも良かった。
タンホイザーのバッカナールではドイツ風に2対のティンパニ(ペダル付きの現代のティンパニでは1台でも演奏可能)を使うなど拘りもあり。
弦管とも絶好調!!
プログラムの渋さをオケの集中力ある演奏でカバーしていたと思います。
いつものことながら上岡NJPの公演には収録用のマイクあり。
過去全ての演奏会がCD化されていないので、今回もどうなるのか分からないけど、上岡さんにもNJPにも会心の出来だったと思うので、オクタヴィアレコードさんにはぜひともCD化して欲しいものですヾ(๑╹◡╹)ノ"



素晴らしいワーグナーアーベントにも関わず、本日のみなとみらいは半分もお客さんいなかったような…
3階席クローズしているから余計ガラガラ感が。
今日は首都圏各所でコンサートあったので、分散しちゃったのもあるんだろけど、前回の「復活」は別にして、上岡NJP、集客はまだまだ厳しいような気がします。
但し、少ないけど聴衆のマナーのは良さはみなとみらいならでは。
フライングブラボーやフラ拍手もなく、上岡さんが指揮棒を下げるまで、素晴らしい静寂が。
こうした余韻を味わえたのも感動がより一層深まった理由だと思います。

【余談】
ちょうど一年前にもラザレフ&日本フィルの演奏で「トリスタン」(相模原公演)を聴いたなぁ〜とふと思い出しました。
(きっかり一年前の母の日)


【DATA】
2019.5.12(SUN)
14:00
横浜みなとみらい大ホール


【追記】
今回アンコールはなし。
上岡NJPと言えば、声楽を伴った大作などを除きアンコールは付き物ってイメージ。
今回もアンコール(オマケ)が楽しみで、ワーグナーアーベントだからアンコールもワルキューレの騎行かローエングリン第3幕への前奏曲かなと期待していたけど、残念ながらなし。
と言いながら今日のプログラムにはアンコールはなかった方が良かったと思う。
あの高貴な「パルジファル」のフィナーレのあとにアンコールは無粋。
アンコールに派手な曲でも演奏しようものならぶち壊し。
パルジファルの余韻に浸りながらホールを後にするのが正解。
上岡さんもそう判断したからアンコールはなかったのかな。
ただもうそろそろアンコールはなくても良いと木さん的には思う。
オマケは所詮オマケ。
やはり本プロのみの勝負が一番良い。
上岡さんがなぜアンコールに拘るのかは理由は分からないけど、オケ側も負担になると思うので、これからはアンコールなしで良いのでは??
たまくらいがアンコールも引き立つと思いますよ(笑)

アンコールの話題ついでに、今日のプログラムのジークフリートの葬送行進曲、2017年11月のルビーのアンコールでも上岡さん取り上げてました。
演奏は、今日の方が彫りが深いって言うか重みはあり。
2017年の方は勢いで押した感じ。
同じ指揮者とオケでも微妙に違うのが、カメレオン指揮者の上岡さんらしい(笑)