【プログラム】
「レ・シルフィード Les Sylphides」
音楽:フレデリック・ショパン
編曲:ロイ・ダグラス
振付:ミハイル・フォーキン
「火の鳥 The Firebird」
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
振付:中村恩恵
「ペトルーシュカ Petrouchka」
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
台本:イーゴリ・ストラヴィンスキー/アレクサンドル・ブノワ
振付:ミハイル・フォーキン
新年はじめのコンサート(バレエ)は、昨年と同じく新国立劇場バレエ団のニューイヤー・バレエでスタート‼︎
今年のプロは、発表時から楽しみにしていた演目なので期待も高い!!
「レ・シルフィード」は、ショパンの音楽(オケ版)に風の精が踊るもの(内容はないよーw)
舞台的には「ジゼル」の第2幕みたい。
白いチュチュを身に纏った女性ダンサーたちと暗い森を彷彿させる情景は、木さん的には『ザ・バレエ』…バレエのイメージそのもの!!
ショパンの名曲に合わせ踊る情景は、幻想的。
ただちょっと単調かな…若干ウトウト…zzZ
絢子さんや井澤さんの見せどころも少ないような。
でもコール・ド・バレエの美しさは、やはり新国立劇場バレエ団だけのことはあります。
ダンサーとしては、主役のふたりより寺田さん・細田さんがよかった!!
絢子さん目当てだと物足りなさもありましたが、短い作品だけにこうしたガラ的な上演でないと観る機会もない作品が見れたのは貴重。
「火の鳥」は、オリジナルストーリー。
しかし…プログラムを読まないとその背景も分からないのは如何なものかしら??
専制君主の国家も独裁による粛清もバレエそのものには描かれず、プログラム読まないで観たらまた印象も内容も別なものになったかも。
配役も火の鳥以外は、プログラムを事前に読んでないと分かりずらい。
また王子から火の鳥の羽(手に入れると巨大力を得る)を奪うのに女装して誘惑する設定って…なに??
王子は単身なんだから「多勢に無勢」で力づくで何とかなりそうなものなんだけど…そうなるとラストも変わる??
あと唯さん演じる娘が「あーなるのも」何だかなぁって感じ(後味が悪い)。
もちろんオリジナルストーリーなのでカスチェイも出ません!!
何となく手塚治虫氏の「火の鳥」が下敷きにあるような(不老不死はないけど、火の鳥に人間の欲望を求め自滅する設定→再生など)。
ストーリー的にはオリジナルのフォーキン版の方が新年向きなんだけどな…
ストーリーは、ともかく踊りは見応えあり!!
反乱軍の踊りは、ウエスト・サイド・ストーリーを彷彿させ切れ味抜群!!
木下さんの火の鳥は、妖艶さと不気味さを見事表現!!
井澤さんは、「レ・シルフィード」の時は今ひとつだったけど、ここでは苦悩する王子を見事演じ切ってました…さすが新国立劇場バレエ団の松潤ではなくイザジュン(笑)…濃いわ~。
そして、紅一点(このストーリーでこうした表現は使わないのかしら??)唯さんは、素晴らしいの一言!!
踊りも見事ながら踊らないシーン(ラスト佇むシーンなど)でも彼女の表現力の凄さは圧巻!!
彼女は、お姫様役も悪くないけど、こうした影のある役柄の方が本質的に合ってるような気がします。
「ペトルーシュカ」は、舞台も華やか!!
単純に楽しめました!!
ペトルーシュカ役の奥村さんの脱力感ある踊り。
バレリーナ役の池田さんのあやつり人形ぽい踊り。
ムーア人役の中家さんのダイナミックながらもちょっとお惚け感ある踊り。
ともかく主役3人がそれぞれのキャラクターを見事演じ切って素晴らしかった!!
池田さんは、コッペリアの際、彼女の当たり役と思えただけにこうした無機質な踊り+コミカルさを合わせた踊りは、はまり役!!
悲劇的結末ながらも三人のコミカルな踊りに頬はゆるみぱっなし(笑)
火の鳥で後味が悪かっただけにスッキリ!!
個人的には登場シーンが少なかったけど、ジプシーを演じた渡辺与布さんがインパクトあり!!
彼女には今後かなり期待しています!!
今回キャストに本島美和さんの名前がなかったのは残念。
「火の鳥」は男性ダンサーと女性ひとりにすることで、最後の悲劇を強調したかったんだろうけど、火の鳥役に本島さんも良かったと個人的には思ったりもします。
火の鳥は、中性的なイメージもありだと思うし、本島さんなら不気味さや妖艶さも半端なかったかも。
音楽的には、バレエ抜きでも楽しめコンサートとしても十分満足♪
イェーツ率いる東京フィルは、火の鳥では連日の演奏で疲れもあったのか金管がヘナちゃったけど、素晴らしい演奏を聴かせてくれました♪
なお、ストラヴィンスキー作品の使用した版は、「火の鳥」は、1945年版の組曲。
もしかしたら1919年版の組曲に+アルファかなと思ったけど、フィナーレが朗々と響いて終わるのでなく、八分音符に変更され区切った感じで演奏していたので、1945年版♪
これは敢えて選んだのかたまたまだったのか、今回のオリジナルストーリーのエンディングでは、ハッピーエンドとは言えないので、乾いた響きのあるこのフィナーレを持ってきたのは効果的だったと思います。
「ペトルーシュカ」は、三管だったので、1947年版♪
途中幕間のドラムロールが長かったのは、舞台転換に合わせたからだと思うけど、「長いなぁ〜」って感じ(笑)
バレエ上演では、比較的大きな編成の作品が生で聴けるのは新国立劇場ならでは!!
他のバレエ上演だと音源使用とかオケ縮小されたりするケースもあるので、オリジナルの編成で聴けるのは貴重♪
バレエとしてもコンサートとしても十分楽しめ大満足(╹◡╹)
【キャスト】
「レ・シルフィード」
ノクターン:小野絢子、寺田亜沙子、細田千晶、井澤 駿
増田裕子、廣田奈々
飯野萌子、川口 藍、玉井るい、中田実里、広瀬 碧、若生 愛、朝枝尚子、今村美由起、加藤朋子、北村香菜恵、木村優子、小村美沙、関 晶帆、原田舞子、土方萌花、廣川みくり、山田歌子、横山柊子
ワルツ:寺田亜沙子
マズルカ:細田千晶
マズルカ:井澤 駿
プレリュード:小野絢子
パ・ド・ドゥ:小野絢子/井澤 駿
華麗なる大円舞曲:全員
「火の鳥」
火の鳥:木下嘉人
娘:米沢 唯
リーダー(指導者):福岡雄大
王子:井澤 駿
黒衣:渡邊峻郁、趙 載範、福田紘矢
反乱軍:福田圭吾、宇賀大将、小野寺 雄、髙橋一輝、佐野和輝、中島瑞生、渡邊拓朗
「ペトルーシュカ」
ペトルーシュカ:奥村康祐
バレリーナ:池田理沙子
ムーア人:中家正博
見世物小屋の親方:貝川鐵夫
街の踊り子:奥田花純、柴山紗帆
若い商人:小柴富久修
2人のジプシー:渡辺与布、横山柊子
乳母:寺井七海
赤井綾乃、稲村志穂里、菊地飛和、北村香菜恵、木村優子、清水理那、関 優奈、守屋朋子
皇室の御者:中島駿野
4人の御者:大田寛仁、小川尚宏、樋口 響、渡邊拓朗
2人の馬丁:井澤 諒、渡部義紀
悪魔の仮装:速水渉悟
日本ジュニアバレヱ(交代出演:大熊美里、新貝美咲子、立川祥南、浪崎杏樹)
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:マーティン・イェーツ
ピアノ:岡本知也(火の鳥・ペトルーシュカ)
2019.1.14(MAN)
14:00
新国立劇場オペラパレス