チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番変ロ短調op.23*
交響曲第4番ヘ短調op.36
指揮:小林研一郎
ピアノ:松田華音*
コンサートマスター:長原幸太
パルテノン多摩は、かなり久しぶり。
お目当ては、昨年、オペラシティでリサイタルを聴き、とても感銘を受け、次回は協奏曲(出来ればチャイコフスキーかラフマニノフ)を聴いたみたいと思った松田華音さんのチャイコフスキーの協奏曲♪
1カ月前にユリアンナの超絶的な名演奏を聴いたばかりで、正直、彼女に分は悪い(あの素晴らしい演奏にはユジャもアリスも束になっても敵わないけど…)ので、評価はちょっと手厳しいかも。
テンポはゆったりめ(これはマエストロの意向かな)。
テクニック的には、万全。
でも正直、終始安全運転って感じ。
丁寧に演奏しているのは、わかるけど、もう少しパッションが高くても良かったかも。
でも彼女は、そこを求めているわけでなく、背伸びをせず、等身大の今の姿を聴いて欲しいような気がしました。
極めてお嬢様的と言えば聞こえが悪い言い方も知れないけど、これは褒め言葉。
ともかく容姿端麗(まったく関係ないけどこの四文字熟語は、隠微な響きがする)な彼女が演奏する姿はとても美しく映画のワンシーンを見ているかのよう(今回はカメラも入っていたので余計にそう感じた)。
それだけで充分。
でも彼女は今後どういった方向に進むんでしょうか。
CDデビューはしているものの、大きなコンクールで入賞実績はなし。
これから狙うのか。
しかし、入賞しないと今後の音楽活動にも影響するだろうし(先にCDデビューってのは、本人にとってはかなりのプレッシャーだと思う)、このままコンクール出場しないとインターナショナル的な活動は厳しいだろうし、ともかく今後の彼女の動向は気になるけど、今回の演奏ではコンクール上位入賞は、ちょっ厳しいかも。
彼女なりの何か魅力がこれからは必要だと思う。
また彼女の知名度も会場の反応(隣の席だったご夫婦は、彼女を知らなかったみたい)からするとまだまだ感もあるので、今後の更なる活動に期待したいところです。
アンコールも霊感が貧しかったような気がします。
手厳しい評価になりましたが、彼女を擁護するならパルテノン多摩の音響のドライさがせっかくの彼女のピアノが響かないってのもあったかも。
会場が違えばまた違った印象もありそう♬
後半、チャイコフスキーは、コバケン節全開‼
お得意のチャイコフスキーとなると歌舞伎の18番的な感じで、コバケンの基本的な解釈は、過去の演奏やCDの演奏と印象は変わらず、相変わらず粘るテンポ。
そして今日のコバケンは、自身の過去の演奏に輪をかけ、ともかく遅い。
ピチカートが弾む第3楽章も重い。
やっと終楽章で若干早くなるものの、基本遅い。
でもコーダではお得意のアッチェレランドで盛り上げ豪快に終わるのは、コバケン流。
やっぱりあの盛り上げ方は、堂に入ってる言うのか、それなりに感動させます‼︎
しかし、チラシでは炎…云々と煽っているけど、彼特有の唸りは、今日のコバケンからは出なかった。
唸らないコバケンなんて‼︎
先月のベートーヴェンは、曲想から唸らないだけだと思ったけど、最近のコバケン氏は唸らないのかな⁇
良い意味で枯れたコバケン氏。
彼岸の境地と言うべきだろうか。
唸らない方が個人的には良いと思う。
協奏曲も交響曲も読響は、コバケン氏と阿吽の呼吸でコバケン氏意図するチャイコフスキーを見事な演奏で聴かせてくれました。
ホールの特性で弦より金管が目立つ傾向もあったけど、そこがスラブぽかったし、協奏曲ではソロよりオケの伴奏部分で金管が吠えまくる方が感動していました♬
終演後は、相変わらずのコバケン流儀でオケを労い、聴衆に感謝。
もちろんアンコールあり。
お得意のダニーボーイ(前回、日本フィルでは、ユモレスク。運よくお得意のアンコールがダブらなかったのは良かったかも)
意外とこれが一番今日のコンサートで一番感動したかも。
会場でも泣いている方が…いたかな(笑)
2016.12.3(SAT)
15:00
パルテノン多摩 大ホール