国際的なクレジットカードブランド
「Mastercard」が1990年代の終わりころから
はじめた「priceless」キャンペーン
"Priceless"お金で買えない価値がある。買えるものはマスターカードで
このキャッチコピーが一世を風靡した
言うまでもないが priceless は
価値がつけられない→非常に高価、お金で買えない価値がある
こんなキャッチコピーが流行るのは
世の中が物質的に豊かになった証左である
マーケティングにおいて
現代が大量生産の時代と異なるのは
商品やサービスの特徴ではなく
それを使って、顧客にどんな効用がもたらされるのか
つまり、何の得があるのか
そのことに目を向け、そのことを売れ、訴求しろ、といわれる
性能や特長を力説したところで
顧客には響かないことがある
それは、顧客の心のなかで
そうした性能や特長が
自分のニーズやそれにより得られる効用に
結びつかない(イメージできない)からだ
この視点から、私は、今一度、自社商品の
販売戦略を練り直そうと思う
priceless で、もうひとつ
このブログについてだが
日ごろは、日記だと割り切り
書きたいこと、思いついたことを書いているのだけれど
読んでくださっている人たちがどう感じるか
そうした読者目線ももちろん気にはなる
皆は、他人のブログから何を得ているのか?
ちなみに、ブログ初心者の私が他のブロガーの投稿を読むのは
・刺激を求めて
・教養としての知識や知見を広げる
・他のブロガーがどんな意図でどんな投稿をしているかを知る
・雑談ネタを得る
・手ごろな暇つぶしとして(これはあまりないが…)
といったところだろうか
私の専門外の話をその道の専門家が発信しているのを読むのは
とても楽しいし、発見もある
何気ない日常や心象風景を綴った投稿
写真やイラストからも刺激を受けることがある
「そういう切り口があったか!」と感心することは少なくない
スマホを指一本で操作するだけで
移動中やちょっとしたすき間時間に
無料でそうしたことを得られるブログは priceless だろう
なお、 priceless は接尾語 -less がつくことで
「価値がつけられない」→「非常に高価」「お金で買えない価値がある」
となるが、同じ -less がついても
value と worth は、価値がなくなってしまう
先の投稿で紹介した、越前秀樹著『「英語が読める」の9割は誤読ー翻訳家が教える、英文法と語彙の罠』(ジャパンタイムズ出版)のP.179には、Robin Stevens & Siobhan Dowd著『The Guggenheim Mystery』(Puffin)からの引用として、次の部分が紹介されていたので、またまた孫引きとなるが、おもしろいので引用しておきたい
"But they're priceless, Mum." I said sensibly.(Theyとは絵画のことだが、上の写真の絵のことではない)
"Priceless means expensive, you neek," said Kat.
Then I felt angry at people who do not use words in a scientific way.
How could priceless mean exactly the oppisite of itsself?
「値段がつかない」という語が、なんで正反対の意味になるのか?と少年(私)は憤慨している
ほんとだよね、最初にそう決めたのは誰なんだろうね?
しかし、間違った言葉や使い方でも
皆が使いだしてしまえば、それが正しいことになるのは世の常だ
「独壇場」もその典型例だ
元は、独擅場(土偏ではなく手偏)、読みも、どくせんじょう
だれかが「擅」の字を「壇」と見間違えるなどして
いつの間にか、独壇場が主流になってしまったのだそうだ
辞書には、両方の字が載っている
本来はこれが正しいなどと息巻いてみたところで
自然言語とはそういうものなのである