こんにちはmokouです。この前、FINALFANTASYⅩが発売から13周年を迎えましたね!今回はFF10の裏主人公ともいえる、アーロンの旅の目的や数々のセリフの真意について私なりに考えてみました。

FF10をすでにプレイしていることを前提として話します。がっつりネタバレするのでご注意ください。

 

アーロンの過去

(ジェクトのキースフィアとザナルカンドでの過去回想を覚えていらっしゃる方は読み飛ばしてもらって大丈夫です。)

アーロンは上官から縁談を断られたことで、出世街道から外れた僧兵でしたが、召喚士ブラスカに誘われ「ザナルカンドから来た」と話す男、ジェクトと共に旅に同行することになりました。

ジェクトは最初の頃能天気なジェクトに対し否定的でしたが、彼の息子への不器用な思いと仲間を思いやる一面を見て彼を信頼し、ザナルカンドから来たという発言も本心から信じるようになりました。

しかしザナルカンドにたどり着いた一行はユウナレスカから究極召喚の真実を聞くことになります。

引き返すことを提案するアーロンに対し、ジェクトは自分が究極召喚の祈り子になることを提案し、ブラスカもその覚悟を決めます。アーロンの説得むなしくジェクトは最後にアーロンにティーダのことを託し、祈り子となりました。そうして究極召喚を手に入れたブラスカもまた、アーロンにユウナをビサイドに連れて行ってほしいと頼みシンを倒し、アーロンは友を2人失いました。

しかし、再びザナルカンドへ行ったアーロンはユウナレスカからシンが不滅であることを知るのです。

仲間の犠牲が無意味だったと知ったアーロンは激昂しユウナレスカに剣を向けますが返り討ちに遭います。満身創痍でガガゼト山へと逃げ延び、今際の際で偶然出会ったキマリにユウナのことを頼み、力尽きました。

しかし強い思いで死人になり、夢のザナルカンドへ行きティーダの親代わりを務めスピラに戻った後はユウナのガードとなりました。

 

アーロンの目的とは?

私が考えるアーロンの目的は「今の時代を担う人にジェクトとブラスカの遺志とスピラの歩む道の選択を託すこと」です。なぜそう思ったかを説明します。

まず、アーロンはなぜ究極召喚の真実を話さなかったのでしょうか?

私はかつて自分たちが迫られた選択を、ブラスカの遺志を継ぎ今の時代を担うユウナとそのガード達に促すためだと思います。それはもう死人になったアーロンには決してできないことです。

選択とは何なのか、それはユウナレスカ戦直前のアーロンのセリフで分かります。

「さあ、どうする!今こそ決断する時だ。死んで楽になるか、生きて悲しみと戦うか。自分の心で感じたままに物語を動かす時だ!」

スピラを覆う死の螺旋に身を任せるか、苦しみの中でも永遠のナギ節を求める道を選ぶか、その決断を促すことがアーロンの最大の目的といえるでしょう。

アーロンは旅の中で必要最小限の情報しか話しません。それもティーダ達に知識や情報ではなく体験、経験としてスピラのことを理解した上で決断してほしいという思いがあったのでしょう。実際スピラのことを何も知らなかったティーダや、エボンの教えの盲目的な信者のワッカなどの仲間達は、スピラの様々なことを体験し視野を広げ成長していました。

ここは私の妄想になってしまうのですが、おそらく「妄言によって投獄された」という表面的な情報のみでジェクトが旅へ同行することを反対したが彼が本当は勇敢で優しい人物だと知ったことから知識より体験に重きを置くようになったのではないでしょうか。

そしてアーロンはとても義理堅い人です。死の間際までユウナの身を案じ、命を懸けてティーダのことを守ると誓いました。そんなアーロンが死に満ちたスピラへティーダを連れていき、ユウナが召喚士になることを咎めなかったのはなぜでしょうか。まず、ブラスカの願いは2つ、ユウナがビサイドで平和に暮らすこと、ユウナが自分の意志で生き方を選択することです。おそらくアーロンは後者を優先したのでしょう。

そして当初アーロンはティーダをスピアに連れてくるつもりではなかったのではないかと思います。

孤独なティーダの父代わりを務め彼が幸せにいられるようにと思っていたにも関わらず、ある日信じられないことが起こったのです。

ただの夢であるはずのザナルカンド都市部にシン、ジェクトが現れたのです。それを見たアーロンはジェクトが迎えに来たと悟ったのでしょう。その瞬間、アーロンはティーダに本当の物語、ティーダ自身の物語を歩ませることを決意したのです。つまりジェクトとの約束が「ティーダのそばで面倒を見る」から、「スピラへティーダを連れていき、彼の物語を歩ませる」に変化したのですね。

それを悟ったアーロンは、ジェクトが好んでいた酒をシンに対して掲げるのです。そして彼に問います。「いいんだな?」と。この言葉には彼の息子を悲しみと戦う旅に送り出すことの最終確認だったのでしょう。

そして次はティーダに告げるのです。

「覚悟を決めろ。これは、お前の物語だ。」

 

アーロンの生き様

 

かつてのアーロン達の答えが間違っていたかどうかは分かりませんが、何も変えることができませんでした。

だから次こそは亡き友の遺志を果たし、次世代に託すためにあえて何も語らず傍観者としてティーダ達の旅路を見守ったのでしょう。そして最後まで自分の役目を全うできたと考え、異界へ旅立つのです。

「もう、お前たちの時代だ。」というセリフも生きて悲しみと戦ったユウナ達と、自分の物語に向き合い続けたティーダを見て、安心から出た言葉なのでしょう。最後まで友との約束を守り抜きあえて何も語らず見守り続けたアーロンはまさに、FF10裏主人公といえるでしょう。

そしてプレイヤーに想像の余地を残しつつ、脇役の心情や過去を描ききったFF10は本当に素晴らしい作品ですね。

今回もかなりの長文になってしまいましたが、ここまで読んでくださった方は本当にありがとうございました!!