南高崎駅 を出発した列車は程なくして、国道17号を陸橋にて跨ぎ、高崎駅東口から南北に伸びる幹線道路にある「城南大橋」と呼ばれる橋の下をくぐる。
そのあたりから既に、雑木林に囲まれた車窓が目の前に広がってくる。
そしてすぐに上越・長野新幹線の高架に差し掛かるが、そこで線路が2本に分かれ始める。
その2本の線路は、うまい具合に高架の一本の橋桁を抱え込むように伸びている。
ここは「佐野信号所」と呼ばれる、上下線の列車の行き違いを行わせる施設だ。
上信線のダイヤグラムは、大半の列車がこの信号所で交換を行うように作られているようだ。
列車は、橋桁からニョキっと姿を現す対向列車の存在を確認するように、最徐行で進む。
新幹線の高架下をくぐり、佐野信号所を過ぎた列車は、右に大きくカーブし始める。
せっかくくぐった新幹線の高架を、再びくぐり直すことになる。
その後は、烏川に架かる鉄橋を渡る。
構造は桁橋で、トラス橋のような枠が無いため、烏川の流れをよく見渡すことができる。
橋を渡り切るとすぐに大きく左にカーブし始める。
そこからは早くも田園が広がる車窓が臨める。
カーブを抜け、再び雑木林の車窓を抜けると、次の駅に停車した。
「根小屋(ねごや)駅」
第4旅で、トラブルに巻き込まれた為急遽下車した駅 であったが、駅の雰囲気、そして駅周辺の雰囲気に私は一目惚れしていた。
再びこの駅を訪れることができて心が弾む。
小さくて鄙びた木造駅舎は、何ともいい味を出している。
前回訪れたときは昼下がり。
今回は早朝だが、駅の雰囲気は何ら変わらない。
平日と隔週土曜には委託の駅員がいるようだが、訪れた日は日曜日。終日無人となる。
駅前に出てみると、駅の雰囲気と同じ、閑静でのどかな雰囲気を味わうことができる。
高崎からわずか2駅足をのばすだけで、非常にのどかな心持ちを抱くことができる場所だ。
クリーム色の駅舎が印象的な根小屋駅だったが、翌2012年に、外壁が青、屋根が赤に塗装し直されたようだ。
個人的にはこの少々古びた感じの駅舎のまま残してほしかったのだが…
しかしここで余韻に浸っている暇はない。
あと17の駅を巡らなくてはいけないのだ。