ねぇ?

 

彼は君を夜明けの海へ連れて行ったね。

 

真っ黒な海の向こうには、きらめく光が。

 

エンジンを切った車内は

 

波音だけだった。

 

ふかしたタバコの煙が

 

窓にあたってくだけていく。

 

将来を不安に思い、

 

二人は手をつないで眠った。

 

このときだよ、

 

君はココに住むことを決めたんだ。

 

 


 

あれから数年が過ぎ

 

彼は

 

君は

 

同じ方向を向いているだろうか?

 

 

 

君がココを通る度に

 

胸がえぐられるような気持ちでいることを

 

彼は知らないのだ。

 

ここは、

 

ここだけは、

 

彼とだけの秘密の場所。

 

誰とも入りたくない場所。

 

 

 

夢に見るんだ。

 

君が1人でココへ来るんだ。

 

そうすると、

 

そこには、

 

彼がいるんだ。

 

あの頃と同じように、

 

彼がいるんだ。