ありすのブログに
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七夕の願い事

幼き日に
短冊に書いた願い事

お父さんに会いたい

お父さんが
帰ってきてくれますように

幾つも幾つも
書いては破り

書いては破った幼き日

願いを込めた短冊は
笹に結ぶ事が
できなかった


笹の葉さらさら
風に揺れ

他に願い事もない
七夕の夕暮れが
嫌いだった


手を繋ぎ
お父さんと呼んだ日

新幹線のホームで
見た人は
写真のままだった

短冊を破いた日から
何年が過ぎただろう

恋い焦がれた月日を
とっくに
追い越した年月は

お父さんを

おじいちゃんにした


あの日の事を
覚えているだろうか

あの日の私を
覚えているだろうか




父への思いに苦しんだ日

ただ純粋に
会いたいとの願いは

叶った瞬間から

どうして?
なぜ?

そんな思いに変わっていった


あれほど施設への入所を
拒んでいた父が

拒むであろうと
思っていた父が


首をたてにふったのは
私への愛情だったと
気づいた夜


幼き私を膝に乗せ
満面の笑みを浮かべた
写真の中の若き父





それが
すべて

私と父のすべて


あの日の父と
何も変わらずに


ありがとう

帰ってきてくれて

ありがとう



良かったにゃ…