眠れない夜に
ひとり
思う
今までのこと
これからのこと
沸き起こる不安は
星の数より少なくて
襲ってくる寂しさは
消えゆく星より少なくて
とるに足りないものだけど
わたしは
まるで
宇宙の闇に
放り込まれ
飲み込まれてしまいそうで
ただひたすら
ただただ
抗い
ただ
ただ
幼子のように
駄々をこねる
すっぽりと
暗闇に
包まれた夜
老いゆく父を
その現実を
抱えきれず
何もかも
星屑にしてしまいたい
そんな
思いの
眠れない夜に
遠くで囁く声がした
もうひとふんばり
もうひとふんばり
おきばりや
逃げんなよ
眠れない夜に
わたしは
わたしではなく
夜明けには
きっと
わたしに戻れる
もう少し
暗闇に紛れ
わたしではない
わたしでいよう
むかしむかし
そのむかし
小さな女の子は言いました
おとうさんなんて
だいきらい
おとうさんなんて
おとうさんなんて
言えなかった大好きは
いつになったら
消えるのだろう
眠れない夜に
ひとり
思う
逃げられないと
逃げたくはないと
ひとり
ひとり
ただ
思う
ありす