九月がゆく

過ぎ去りし日の思い出も
一緒に



九月の満月

十五夜に

天女が降りて
連れていった


幼いあの子

一年と少ししか
この世にいずに

連れていかれた
あの子



共に過ごした時間は
あまりにも短く


あまりにも濃く

あの子の命を繋ぐために
必死になった日々


いつまでともわからない命を
知ってか知らずか
あの子は
健気に

少しだけわがままをいい


思いきり甘え
思いきり

思いきり

思いきり






生きた…ね



何度も
逝かないでと
名前を呼び続け

何度も
戻ってきたあの子を

抱きしめて



苦しい思いをさせて
命を繋ぐ私たちは


何が正解で
何が間違いで

そんなことを
考える余裕もなく


ただただ
あの子と向き合った日々




あの子がぬくもりを失った日
悲しみの中に
一抹の安堵を感じた自分を

私は
責めた


楽になれたね

神様は意地悪だね

あの子に与えた試練は
あまりにも苛酷で

神様を恨んだね










大好きな
こだま

先天性巨大食道症

生後三ヶ月の生存率
30%未満


ペットショップに
出せなかった子


娘が
自分の意志で
はじめて保護した子


トイプードルのモコも
去年
こだまの元にいった


繁殖犬引退

分離不安症


最後のおうちに選んだここは



幸せだっただろうか



人が産み出した現実を
人が救い

人が憂い



そして
涙する



その涙で
どうか許して


救うことのできなかった
幾つもの命


虹の橋の向こうは
どうですか?




秋に想う

あの子たちに


問いかける



もうすぐ
寒くなるね



こちらは



元気です…