花一輪
届ける術も
知らないで

やがて詩集の
栞となりて






〜花栞〜





本に挟んだ一輪の花
彼の人に届けてみたいと摘んだのに
いつしか寂しさ含んだ栞となって

栞となった花弁が
ひと片散るような春の中

いくら涙を与えても
もう一度咲く訳のない花栞

この街の沈む夕日が早くなる前に
読みかけの本のページをめくりましょう

読みきれないと知りながら
彼の人暮らす白夜の夢へと思いを馳せて





詩と写真・炎

栞・読み、しおり