〜雪虫として〜





手のひらを与えて下さい

包まれた優しさの中で解けて行きたいのです

人は雪虫と呼ぶ
それでもいい

雪の降らない街に
切なさに濡れた雪を連れて来ましょう

雪に咲く白い花を愛した人の
寂しさの時に生まれた私は
手のひらで解けて行けるから

溶け込み染み込み
情念の命を捧げる時
私が流した涙ひと粒

一輪の花と生まれ変わる

だから
手のひらを与えて下さい

瞬きにも満たないほどの温もりを
白い肌にあてがって
雪虫として解けて行きます