〜一輪挿しの夢〜




朝もやの中に立つように
一輪挿しの夢が霞む

時の流れは薄い明かりの部屋の隅

行ったり来たりを繰り返す

まだ目覚めていないのだろうか
待ちわびた季節を告げる小鳥は鳴かず

閉めた無地のカーテンの隙間
射し込む太陽の眩しさは
夕日でないことは分かっていた

何でもない
思い出したのか夢を見たのか
朝もやの中に居たのは
寂しそうな瞳で見つめる貴方

何処ヘ行くんだい
その手の花の名前教えようとしたのか

消えていく
微睡みの彼方へと
一輪挿しの夢だけ残して