ブルーレイディスクにて鑑賞

 

 

解説

里見とんの小説を、小津安二郎・野田高梧のコンビが脚色したもので、結婚期にある三人の娘と、容易に意見の合わないそれぞれの家庭の親とを描いたもの。「東京暮色」以来一年ぶりに小津安二郎が監督し、「若い広場」の厚田雄春が撮影した。山本富士子の他社初出演をはじめ、有馬稲子・久我美子・佐田啓二・佐分利信・高橋貞二・桑野みゆき・笠智衆・渡辺文雄という豪華な顔ぶれである。(映画Comから)

あらすじ

大和商事会社の取締役平山渉(佐分利信)と元海軍士官の三上周吉(笠智衆)、それに同じ中学からの親友河合や堀江、菅井達は会えば懐旧の情を温めあう仲。それぞれ成人してゆく子供達の噂話に花を咲かせる間柄でもある。平山と三上には婚期の娘がいた。平山の家族は妻の清子(田中絹代)と長女節子(有馬稲子)、高校生の久子(桑野みゆき)の四人。

三上のところは一人娘の文子(久我美子)だけである。その三上が河合の娘の結婚式や、馴染みの女将のいる料亭「若松」に姿を見せなかったのは文子が彼の意志に叛いて愛人の長沼と同棲していることが彼を暗い気持にしていたからだった。その事情がわかると平山は三上のために部下の近藤と文子のいるバアを訪れた。その結果文子が真剣に結婚生活を考えていることに安堵を感じた。友人の娘になら理解を持つ平山も、自分の娘となると節子に突然結婚を申し出た青年谷口正彦(佐田啓二)に対しては別人のようだった。

彼は彼なりに娘の将来を考えていた。その頃、平山が行きつけの京都の旅館の女将初(浪花千栄子)が年頃の娘幸子(山本富士子)を医師に嫁がせようと、上京して来た。

幸子が節子のために一芝居打って、節子と谷口の結婚はなんとかうまくいった。

しかし、最後まで、平山は仏頂面であった。式には参加しないとか言いながら、清子の前に

式に参加するための手袋などを用意していた。

最後に節子にとって心残りだったのが、式の中で平山の笑いが一つもなかったことである。

幸子に背中を押され、一人広島に向かう平山であった。(映画Comから)