ブルーレイリマスター版にて鑑賞

 

解説

「お早よう」のコンビ野田高梧と小津安二郎の共同脚本を小津安二郎が監督したもので、ドサ廻り一座の浮草稼業ぶりを描いたもの。撮影は「鍵(1959)」の宮川一夫が担当した。

あらすじ

志摩半島の西南端にある小さな港町。そこの相生座に何年ぶりかで嵐駒十郎一座がかかった。座長の駒十郎を筆頭に、すみ子、加代、吉之助など総勢15人、知多半島一帯を廻って来た一座だ。駒十郎とすみ子の仲は一座の誰もが知っていた。だがこの土地には、駒十郎が30代の頃に子供まで生ませたお芳が移り住んで、駒十郎を待っていた。その子・清は郵便局に勤めていた。お芳は清に、駒十郎は伯父だと言い聞かせていた。駒十郎は、清を相手に釣に出たり、将棋をさしたりした…。すみ子が感づいた。妹分の加代をそそのかして清を誘惑させ、せめてもの腹いせにしようとした。

 

すみ子(京マチ子)、加代(若尾文子)の二大女優が美しい。

 

すみ子は一座の看板女優で、座長、駒十郎(中村鴈治郎(2代目))の愛人である。

加代は、その一座の一番の若手で、すみ子の妹分的な存在。

駒十郎が、ここにやってきたのは12年ぶり。

そして公演期間中に、訪れたのは、かつての恋人であったお芳(杉村春子)と駒十郎の息子、清(川口浩)

の家だった。

駒十郎は、清には叔父さんということになっていた。

実の息子ということは、清には知らされていない。

つかの間の自由な時間に、清と釣りをしたり、将棋を指したりして、親子の交流をしていた。

すみ子には内緒だった。

駒十郎の行動を怪しむすみ子は密かに探りを入れて、事実を掴む。

その事実を知ったすみ子はずっと騙されていたことに腹が立って、しょうがなかった。

その腹いせに妹分の加代と清をくっつけようとしていた。

加代と清は恋人関係になり、その関係を駒十郎が知るのであった。

駒十郎とすみ子の雨の中、道をはさんだ軒下での罵り合い、最後のもう一度やり直しの旅に出る

場面は必見だ。

大映のアグアカラーをリマスター化して、より鮮明に色を出したこのバージョンは、何度も観たくなる。