デジタルリマスターで鑑賞

 

 

親子愛の断層に焦点を当てた巨匠・小津安二郎の異色作――― 杉山周吉は、20年前、妻にその愛人と逃げられ、長女を嫁がせた今、次女・明子とひっそりと暮らしている。だが、最近明子の帰宅が遅れがちなことに気をもんでいた。明子は年下の恋人の子を妊娠、それを知って姿を消してしまった彼を毎晩探しさまよっていたのだ。そんなある日、ふとしたことから明子は自分や父を捨てた実母と再会。何も知らなかった明子は、母のみだらな真実にショックを受け、恐ろしい疑惑を抱くのだった・・・・・・。 ラストシーンは小津監督屈指の名演出!

解説

「早春」以来、久々に登場する小津安二郎、野田高梧のコンビが執筆した脚本から小津が監督した話題作。父を裏切って家出した母を求める娘の激情を描く。撮影は「あなた買います」の厚田雄春。主演は「白磁の人」の有馬稲子、「大番」の原節子、「暴れん坊街道」の山田五十鈴、「顔(1957)」の笠智衆。ほかに「情痴の中の処女 天使の時間」の高橋貞二、「近くて遠きは」の杉村春子、「正義派」の田浦正巳、それに山村聡、信欣三、中村伸郎、宮口精二、浦辺粂子、三好栄子、藤原釜足、増田順二、長岡輝子のヴェテラン。菅原通済が特別出演している。

小津安二郎監督の「東京物語」で、小津作品に魅了された私は、

今、小津作品に夢中になっている。

今回観たのが、デジタルリマスターで再販された「東京暮色」だ。

小津のモノクロ映画の最後となる。

妻と離婚して、2人の姉妹を育てる父親杉山周吉役に、笠智衆。

姉の孝子役は原節子。妹の明子役は有馬稲子。

有馬稲子の寂しげな陰のあるかわいらしさがとても魅力的だ。

生き別れた母親役には、山田五十鈴。

母親との再会が妹明子の人生を大きく狂わせることになる。

全体的に暗い作品だが、1度目より2度目と観ることによって、

味わい深い作品になっている。

夫との関係がギクシャクして実家に戻っていた孝子は父親の元を去り、またやり直す

ことになった。ここが唯一の救いのシーンだ。