DVD鑑賞



解説
『殯(もがり)の森』などの河瀬直美が樹木希林を主演に迎え、
元ハンセン病患者の老女が尊厳を失わず生きようとする姿を丁
寧に紡ぐ人間ドラマ。
樹木が演じるおいしい粒あんを作る謎多き女性と、どら焼き店
の店主や店を訪れる女子中学生の人間模様が描かれる。
原作は、詩人や作家、ミュージシャンとして活動するドリアン助川。
映像作品で常に観客を魅了する樹木の円熟した演技に期待が高まる。



あらすじ
刑務所から出所したのち、どら焼き屋「どら春」の雇われ店長と
なった千太郎の店に、徳江(樹木希林)という女性がやって来る。
その店で働くことを強く希望した徳江を千太郎は採用。徳江が作
る粒あんが評判となり、店は大繁盛。
そんな中徳江は、つぶれたどら焼きをもらいに来ていた女子中学
生のワカナと親しくなる。
ところがある日、かつて徳江がハンセン病を患っていたことが近所
に知れ渡り……。



どら焼き屋「どら春」の雇われ店長千太郎(永瀬正敏)はどこか影のある

人間だった。

過去のことは途中まではわからず、そして桜が満開の時期にやって

きた謎の老婆徳江(樹木希林)は「この店で雇って欲しい」

「うちは時給が600円だよ」と言う千太郎店長。

「300円でもいいから働かせてほしい」と懇願する。

それでも拒否する千太郎だったが、あるとき徳江が作った粒あん

を食べて「こんな味、初めてだ。俺は甘いモノが苦手だが、最後まで

食えた」と感動する千太郎。

そして千太郎は「よかったら俺の店、手伝ってくれませんか」と

雇うことになった。

開店時間は11時だったが、徳江の希望で明け方から仕込みが始まる。

小豆のあく抜き、炊き方まで徳江の細かい指示が飛ぶ。

それでも黙って徳江と仕込みをする千太郎。

どら春のどら焼きはたちまち人気商品になり、開店前から行列ができる

ほどの繁盛を見せる。

しかしオーナーの女性(浅田美代子)が徳江という女性がハンセン病患者であ

ったことを聞きつけ、千太郎に早く辞めさせるように迫る。

女子中学生が「なぜ徳江さんの手は変形してるんですか?」という質問に

動揺する徳江。

そして徳江がハンセン病患者だったことがわかり、客足が遠のいてしまう。

徳江は千太郎に手紙を書き、「迷惑をかけることになるので、もう店には

行かない。これまでほんと楽しい時を過ごすことができ、幸せでした」と

辞意を告げた。

気になる千太郎、徳江には俺は飲み屋で仕事中に人に暴行をはたらき、

重い障害を負わせ、その賠償をしなければならないのでここで雇って

もらっているのだということを伝える。

徳江が入所している療養所にお店にいつも通っていた訳ありの女子中学生

といっしょに訪問し、徳江の身の上話に耳を傾ける。

ハンセン病患者だったゆえに自分の自由を奪われ、まるで鳥かごのインコの

ような生活を余儀なくされたその老婆徳江。

でも一歩外を出て散歩しながら感じる四季の移り変わりを目で見て、耳で

感じることができたことで生まれた甲斐があったと千太郎とその女子中学生

に話す徳江の言葉に胸を締め付けた。

この作品は是非、観てほしい作品だと思う。

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