DVDでの観賞

解説
自らの生き様を貫き通す中年プロレスラー役がミッキー・ロークのはまり役となり、
数々の映画賞に輝いたエネルギッシュで感動的な人間ドラマ。
監督は『π』『ファウンテン 永遠つづく愛』のダーレン・アロノフスキー。
主人公の一人娘には『アクロス・ザ・ユニバース』のエヴァン・レイチェル・ウッド
がふんし、主人公が好意を寄せるストリッパーを『いとこのビニー』のマリサ・トメイ
が演じる。
栄光の光と影、落ちてもなお失わない尊厳を体現するミッキー・ロークの名演に、大きく
心を揺さぶられる。

あらすじ
ランディ・ロビンソンは80年代に大活躍したプロレスラー。
しかしそんな栄光も今は昔、それでも彼は老体に鞭打ちながら小さな地方興行に出場して
細々と現役を続ける不器用な男。
ひとたびリングを降りれば、トレーラーハウスに一人で住み、スーパーマーケットの
アルバイトで糊口を凌ぐ孤独な日々。
そんなある日、長年のステロイド常用がたたって心臓発作で倒れたランディは、ついに
引退を余儀なくされる。
急に戸惑いと不安で心細くなったランディは、馴染みの年増ストリッパー、キャシディ
に心の安らぎを求めたり、長らく疎遠となっていた娘ステファニーとも連絡を取り修復を
図ろうとするのだが…。
A Day In The Life

ミッキー・ローク自ら、栄光と挫折を味わったらしい。よってこの映画は自らの生き方を

投影しているようだ。

以下ネタバレあり

この映画の主人公は全盛期を過ぎ、細々と興業を続ける老練のレスラーだ。

映画の中では語られることがなかったが、おそらく全盛期はお金もあったし、家族を顧みず

派手に遊んだようだ。
A Day In The Life

でも病気をして、プロレスラーとしてやっていけないことを知ると急に不安になり、孤独

が襲ってくる。

別れた娘に会いたい。

それは親子ならだれしもある気持ちだ。

最初は「何よ、今さら。私が必要としていたときに居なかったじゃないの?私に面倒をみて

欲しいなんて、虫が良すぎるわ」って言われる。
A Day In The Life

それでも娘を昔、いっしょに行った場所に連れ出し、

自分の心境を語るうちに親子のわだかまりは解けていくかと思われたら、

大事な約束をすっぽかしてしまう。

自分の帰る場所を失ったランディーはやっぱりここしかないとまたリングに戻る。

かつての決め技をもう一度、リングでファンに見せたい。その姿が美しく、切ない。

華やかなプロ選手も現役を引退したら、事業や後進の指導で第二の人生を歩む者もいるが、

実際、そういった人は一握りと聞く。

あとの大多数が、きびしい第二の人生を送るようだ。

人生はフィフティフィフティなのかもしれない。